わざわざ来てくださって
ありがとうございます。
2009年、長野県東御市御牧原の山の上に
パンと日用品を販売する小さな店が誕生した。
クネクネとした山道を登った場所にあり、
公共交通機関が通っていないので、
車でしか来ることができない。
名前を「わざわざ」と言う。
こんな山の上まで
わざわざ来てくださってありがとうございますの
感謝の気持ちを込めたつもりである。
わざわざについて
どちらかひとつを選ばない
パンの移動販売で貯めた資金で、自分で使っていてよいと思った日用品を仕入れて、自宅の片隅に店を作って週末だけ開ける。そんな店主一人で営んでいた店は少しずつ変化をしていった。2011年の東日本大震災は大きく考え方を変えるターニングポイントだった。
単一のエネルギーでパンを焼いていたら、災害時に何の役にも立てないことを知って、薪窯とガス窯の両輪で回すことが大切だと思いこんでしまった。
そして、女性一人でも薪窯で焼けるように最小限の燃焼効率で窯を温められるロケットストーブ式薪窯を開発し、店舗を建てることにした。貯金600万円の有り金を全てはたいて、自宅の脇に店舗をハーフビルドで9ヶ月かけて建てたのだった。2012年3月、現在の店舗のベースとなる店がオープンした。
パンは体を作るものだから
薪窯を作ったことで、意志が明確になった。人々の役に立てるような商売がしたい。パンは主食であり体を作るものであるから、健康的なものでありたい。余分なものが入っていない体を作るパンを焼こうと、20数種あったパンを食事パン2種類に絞った。
それから食品類は健康的でありながらも、人に丁寧を強制することはしたくない。ベターな選択ができるようにしたい。無農薬オンリーから“減農薬もよし、過剰な添加物でなければよしとしよう、楽をすることもまた健康だ”と基準を緩めた。
日用品はゴミの出ないものがいい。長く使えて愛着の持てるもの、丈夫であることシンプルであることを大切にした。少しずつラインナップを増やしていき、生活に関わる全てのものをわざわざの独自基準を定めて集めることに熱中した。商品選びの基準は、今も当時と変わっていない。
リアルとオンライン
事業が軌道に乗ってきたこともあり採用を強化した。段々と増えてきた社員をよりよく雇用するために、2017年3月、わたし達は株式会社わざわざになった。
運良く借りることのできた近隣の工場跡を改装し、事務所と倉庫を作り、オンラインストアの運営をより一層強化することにした。そして、実店舗に来てくださった人も買い足しをしやすいオンラインストアとなるように。オンラインストアのユーザーに「いつか来たい」と思ってもらえる実店舗となるように。
リアルとインターネットを通して、お客様と交流したことを両方にフィードバックして店をよくすることを心がけていった。
姉妹店「問tou」をオープン
わざわざを訪れてくれる人が増えたことで、手狭になった実店舗をどうにかしたいと奔走していた時に、東御市から公共施設の運営をしませんか?と声をかけていただいた。ぜひやらせてくださいと手を上げて、わざわざとは全く違うコンセプトの「問tou」(とう)を立ち上げることになった。
わざわざは日常、問touは非日常。全く別のスタンスの店を回遊してもらいたいと考えた。それは実店舗とインターネットを交互に訪れるのに似ている。一つのものを様々な側面から見ることは、我々人間にとって大切なことだから。
スタンスを変えず、変化に対応する
2020年には新型コロナウイルスという新しい問題に直面し、わたし達はあらゆる常識が変化することを体験した。それでも、わざわざのスタンスは変えなかった。
世の中の役に立つこと、健康であること、環境に配慮すること。そのスタンスを変えずに、変化に対応しながらこれからもよい店を作っていきたい。
ますます強く持った思いを形にすべく、翌2021年にCI(コーポレート・アイデンティティ)を定め、わざわざのスローガンとなる「よき生活者になる」という言葉を掲げ始めた。
「よき生活者になる」ふたつの新店舗をオープン
2009年に「パンと日用品の店 わざわざ」を開業してから、わざわざは山の上という立地で、ともすれば人を拒むような場所で商いを行ってきた。そこで、今までとは対極のロードサイドに、“サッと立ち寄りよいもの買える”お店を作ろうと決意した。
2023年1月、東御市の県道沿いにコンビニ+直売所型店舗「わざマート」をオープンした。ここで実験を繰り返し、いつかは「あなたの街にわざマート」と考えている。
そして2023年4月、わざマート隣に、体験型施設「よき生活研究所」をオープンした。わざわざの取り扱い商品に埋め尽くされた空間で、訪れる人が好きなように過ごせる施設だ。
どの店舗も、そしてオンラインストアも、皆さんが“よき生活”を助けるようなお店でありたいと思っている。
わざわざではこれからも、“よき生活者になる”を合言葉に、お客様のよき生活を作るためのお手伝いをしていきます。どうかこれからも末永くお付き合いをいただけたら。ご来店を心よりお待ちしております。
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わざわざが大事にしていること
商品選定基準
- 長く使えるもの
- 飽きのこないもの
- 暮らしに寄り添うもの
- きちんと作られたもの
- 環境に配慮したもの
食と生活それぞれの面から、自分たちが心からよいと思うものを販売しています。それらは耐久性に優れ、シンプルな飽きのこないデザインで、一緒に暮らす中で違和感なく生活に溶け込んでいく日常の品々です。
季節商品はほぼなく、定番商品を継続して販売することで無駄な消費を促しません。また、可能な限りプラスチックの使用を減らす取り組みや、不良品とするには惜しいB品を“乙なもの”と定義し、ものに対する許容範囲を広げる取り組みも。「わざわざで買い物をするとごみが殆ど出ない」そんなしくみを目標としています。
食品選定基準
- 安全で安心なもの
- 無理のない価格帯
- 生産者との良好な関係性
- きちんと作られたもの
- 環境に配慮したもの
わざわざでは「世界で1番美味しい」を集めて販売している訳ではありません。判断基準にそった「生活に密着できる物」を集めています。身体に嬉しく、余計なものが入っていない、作り手の顔が見える食料品。それはなにより自分たちが満足して使いたい、食べたいものです。
普段使いできる価格帯でありながら安すぎないことも重要で、お互いにとって心地よい価格設定を目指しています。また、私たちが心を込めて売るものは好きな人のものでありたい。お客様に生産者の気持ちを伝え、しっかりと販売できる関係性を重視しています。