Martin Faizey
英国の工房で受け継がれる
革と向き合う手仕事
2011年にスタートした「Martin Faizey(マーティン・フェイジー)」。創設者であるマーティン・フェイジー氏は、16歳でレザー業界に入り、地元の馬具工房で経験を積みながら、ウォルソールやロンドンのカレッジで学び、マスターサドラー(馬具職人)となりました。
その後、約17年間サドラーとして技術を磨き、ブライドルレザーをはじめとするイングリッシュレザーに特化したストラップやベルト製作に携わってきました。1990年には、妻イヴォンヌの支えを受けてウスターシャー州の農場の一角に工房を構え、「Faizey Leather Goods」として独立。長く「DAINES & HATHAWAY」のベルト製造を担い、その品質を裏側から支えてきました。

そして2011年、自らの名を冠したブランド「Martin Faizey」を設立。現在もウスターシャー州の工房で、家族や少人数のスタッフとともに製作を行い、サヴィル・ロウをはじめ東京やベルリンなど、世界各地へ製品を届けています。
日常に根ざした革製品

Martin Faizeyのものづくりは、すべてオールハンドメイド。大量生産ではなく、小さな工房で一つひとつ仕上げられています。家族経営ならではの目の行き届いた環境の中で、品質を保ちながら丁寧に作り続けています。
主に用いられるのは、英国製のブライドルレザー。もともと馬具に使われてきた堅牢な素材で、使い込むほどに艶と深みが増していきます。サドラーとして培ってきた縫製やストラップづくりの技術が、そのままベルトへと落とし込まれているのも特徴です。
なかでも象徴的な存在が「クイックリリースベルト」。ヴィクトリア朝時代の消防隊員が使用していたバックルをもとに、現代のベルトとして再構築されたものです。しっかりと固定しながらも、バックルを開けば片手で素早く外せる実用的な構造を備えています。
装いを選ばない端正な佇まいと、使い込むことで生まれる経年変化。日常の中で自然と馴染み、長く使い続けたくなる一本です。
受け継がれる技術と価値観

英国のサドラー技術と、歴史の中で生まれた機能的な構造。それらを現代の暮らしに合うかたちで届けることが、Martin Faizeyのものづくりの軸にあります。
装飾に頼らず、素材と構造で成立する美しさ。堅牢でありながら、使うほどに柔らかくなり、風合いを深めていく革。そうした時間の積み重ねを楽しめることも、このブランドの魅力です。
ローカルな工房から、サヴィル・ロウや世界各地のセレクトショップへ。確かな手仕事から生まれる革製品は、静かに、そして長く使い続けられていきます。