必要な素材しか使わない
革製品のケア用品メーカー・TAPIR(タピール)。みつろうなどの天然素材だけを原料にした製品を作り続けている会社です。
石油系オイルや有機溶剤などを含んだ一般的なワックスと比べて人体や環境への負荷が少なく、それに香りもよいので、革のお手入れをより負担なく日々楽しくこなすことができるでしょう。単に天然素材というだけでなく「可能な限り、有機栽培の植物を原料に用いる」といった取り組みもタピールのこだわりのひとつです。
わざわざでは、スタッフにタピール愛用者がいたことをきっかけに取り扱いを始めました。革靴(NAOTなど)を履くスタッフも多いのですが、革靴を長く愛用するために、あわせてオススメしている定番のケア用品です。
タピールのはじまり
1983年にドイツの小さな村で誕生したタピール。当時はドイツで環境問題が大きく取り上げられ始めた頃。タピール創業者のボードー氏も、そんな環境問題に対して取り組む学生のひとりだったといいます。
この頃、巷で売られているワックス製品のほとんどは、新素材のワックスや石油系のオイル・有機溶剤・タール色素などを含み、石油化学系の乳化剤や酸化防止剤などが含まれていました。
このような状況から「革をケアしようとしたら良いワックスがなかった」と悩んだ創業者は、現代のワックスが誕生する以前にあった昔ながらのワックスの作り方・油脂の扱い方を研究し、再現。今ある便利な道具の起源はどのようなものだったか。道具の“そもそも”を追求していったことで、天然素材のみで作るタピールの製品を誕生させました。
必要な素材しか使わない製品づくりへの考え方
「天然素材は自然から得られるもの。自然が素材を生み出すためには環境が必要」という考えから、現在も創業者は、環境意識の高いライフスタイルを心がけているといいます。
こうした創業者の考えを反映したタピールの製品は「NCP(NATURE CARE PRODUCTS)」の認証を取得。製品の使用に加えて、その製造過程でも環境への影響を及ぼさないことを認めるドイツの認証制度です。
また製品の開発製造にあたって動物実験の実施・委託をしないこと。ドイツ自然保護連盟の活動を積極的に行っていること。南アメリカに生息するバクの保護基金を支援していることを表明しています。
“「本当に必要なものは何か」製品の目的のために必要な素材しか使いません。また素材の特性を生かす方法で製品化しています。”(TAPIR JAPANのサイトより)
靴磨き、まずはここから
革のケアはとてもシンプル。1にワックスで皮膜保護。2にブラッシング(または布で拭く)。基本はこれだけです。
タピールにはクリームやワックスなど豊富なラインナップがありますが、必ずしもそれら全てを揃える必要はありません。基本のお手入れなら「フレーゲクリーム」と「艶出しブラシ」。まずはこのふたつから組み合わせてみるのをおすすめします。
革製品を手に入れたらまず、ワックスで油分をしみこませておく。それで充分に皮膜が保護されていれば、しばらくはブラッシングだけで日々のお手入れは済んでしまいます。
フレーゲクリーム。含まれたワックスの成分で革を保護しながら、防水・艶出し効果も。よく使う靴にあわせて色を選びましょう。柑橘系の香りがあります。
馬毛の艶出しブラシ。毛の固さが革全般のケアに使えるオールマイティなブラシです。
革製品によっては“タンニンなめし”など時間をかけてなめされた革で作られているものがあります。このようにタンニンがすでに染み込んでいる革の場合、最初の1,2年はブラッシングだけで充分にケアすることができます。
さらに使い分けるなら
革に栄養を与えてくれるレーダーバルサム。革靴だけでなく革小物などオールマイティに使いたい場合におすすめ。無色タイプですので革の色を問わず使えます。バルサムを塗り込んだあと、少しだけ水分を含ませた布で磨くことでツヤが出ます。
レーダーフレーゲ。ホホバオイル入りで、まるで肌に浸透するように革に油分が染み込んでいきます。デリケートな革(山羊・羊・子牛の革)や、履く機会の少なく乾燥しがちな靴を保湿する目的にもおすすめ。
このほか、汚れ落とし用ブラシや仕上げ用コットンネルなども取り扱っています。さらに細かい用途ごと使い分けたくなったら、ぜひチェックしてみてくださいね。