健太郎窯(陶芸)
日常に溶け込む素直な器
健太郎窯 村山健太郎 プロフィール
1978年 佐賀県唐津市生まれ
2003年 有田窯業大学校卒業ののち、川上清美氏に師事
2008年 唐津市に築窯、独立
佐賀県は唐津市、風光明媚な唐津湾に面する鏡山の中原に健太郎窯はあります。基本的に唐津の土で作られるという唐津焼、健太郎窯も例外ではありません。肥前の山々を歩いては器の原料となる土や石、鉄などを採集しては、粘土と釉薬を作ります。
こうして土を掘るところからはじまる健太郎窯の作陶。器の原料はすべて自然から手に入れたもの。それぞれの土に適した精製方法を見定めては窯に入れるときの焼成温度も細かく見なければいけません。
このように大変手間がかかり非効率的な手法ではありますが、土の持ち合わせる魅力と向かい合いながら素材から作り出すたびに古の技術に隠された "ものの秘密" に触れることができるのだと村山さんはいいます。
器の原料となる土の様子をじっくり観察しては土の状態に合わせて面倒をみていくことが「私の仕事です」という村山さん。古唐津の伝統技術をベースにしながら土や釉薬の理解を深め、健太郎窯だけが持ち合わせる素材感を生み出したく日々模索しています。
健太郎窯では「日常に溶け込む素直な器」を大切にし、いつまでも飽きずに使い続けてもらえるように形状はできるだけシンプルに。毎日の暮らしに欠かせない器として愛されてきた古唐津をそのままに作り直すのではなく、変わりゆく時代に生きる料理人の価値観や食文化に寄り添う、現代の用の美を探求しています。

- 執筆:わざわざ編集部
- 撮影:若菜紘之
- 最終更新日:2025.04.11