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パプアニューギニア海産

パプアニューギニア海産

だからおいしい天然エビ

天然エビ一筋30年の会社、パプアニューギニア海産。創業よりパプアニューギニアの天然エビだけにこだわり、輸入・加工・販売を行っています。海産物にまつわる企業は多くありますが、エビ一筋かつ特定の産地にこだわる会社は他に類を見ません。

同社は2011年の東日本大震災で工場が全て津波に流されるという大きな被害に遭い、宮城県石巻市から大阪へ移転しました。被災後の厳しい状況下でも、無薬品・無添加の姿勢を貫いています。

お客様の中には、商品である天然エビよりも「出勤日・勤務時間は自由」「嫌いな作業はやってはいけない」といった独自の働き方でご存知の方も多くいらっしゃるかもしれません。

働きやすい環境を目指す取り組みで注目を集めているパプアニューギニア海産より、工場長・武藤北斗さんをわざわざの全体ミーティング(※)にお招きしました。60分という短い時間ながら、武藤さんには素材・製造へのこだわりから、独自の働き方を作る真意まで、さまざまな話をしていただきました。

※全体ミーティング:わざわざで毎週行っている全スタッフ参加の会議。アイテムの取り扱い基準の話から最近会った人、読んだ本の話まで、幅広く皆の知識にしていこうという取り組み。仕事への理解を深める一因になればという思いで続けています。

誰でもわかるものだけを使う

プリプリの『自然そのまま天然海老』で作るサラダ!極上です。

パプアニューギニア海産の天然エビは、漁獲してすぐに船の上で急速冷凍する「船凍品」。陸に戻ってから冷凍するよりも、おいしさの決め手である鮮度を保持したまま日本の工場に運ばれます。

また武藤さんによれば、天然・養殖問わず、市場に出回っているエビの多くは酸化防止剤などが使われているといいます。エビは鮮度が失われるとともに酸化して殻が黒く変色していくのですが、変色していることで市場での価格が下がってしまうのを防ぐために薬剤が使われることが多いのです。

武藤さんは「薬剤そのものの良し悪しではなく、鮮度がないことを隠すのが良くないと考えている」と話します。

パプアニューギニアではエビの漁獲量が多くないことなどから、酸化防止剤を使用していないそうです。現地の船員たちは売値を下げないために、スピーディーな作業によってエビの変色を防ぎます。結果、エビの鮮度が保たれるのです。

サッと揚げるだけでおいしい『天然エビフライ』

「シンプルに、誰でもわかるものだけを使う」という考え方は、同社の冷凍エビフライにも現れています。原料はエビ、パン粉、小麦粉、水のみ。卵を使っていないほか、塩コショウなど調味料も使っていません。

卵を使わないエビフライを作り始めたのは、卵は良し悪しの判断が難しいことから。小麦粉は金沢大地、パン粉は桜井食品、つなぎに使う水は木頭村、と、原料は信頼できるものを選び、どれもその製造元を明らかにしています。

最後まで人の手で

鮮度と素材への徹底したこだわりに加えて、手作業を大切にしていることもパプアニューギニア海産の特徴のひとつ。船の上で急速冷凍されたエビは大阪の工場に運ばれ、品質やサイズ毎に選別されます。船と同じく工場内でも薬品や添加物を使用しないため、工場での作業のスピードもエビの鮮度に大きく関わってきます。

それでも大量にエビを扱うような機械を使わず、例えばエビフライにおける「包丁で切って軽く伸ばす」といった作業も繰り返し人の手で行うなど、製造における質にもこだわります。また、後述する新しい働き方のルールによって従業員が長年継続して勤務できる環境となった結果、手作業の効率は上がり、品質向上につながったといいます。

こうした鮮度・素材・製法への徹底したこだわりが、パプアニューギニア海産のエビのおいしさを作り上げています

※追記:2023年6月、工場に伺いました。隅々まで綺麗に掃除が行き届いていて清潔感と明るさのある現場でした。

スタッフさんはそれぞれルールに基づいて配置につき、淡々と作業を進めています。

殻を剥くのは手作業です。ひとつずつ丁寧に、かつ手際よく。

【パプアニューギニア海産の始まり】

創業者・代表の武藤優さん(武藤北斗さんの父)は、築地の水産物卸売会社の冷凍エビ課に就職するも、買い手優位にある市場の構造を疑問を感じて退職を決意。生産者目線に立った生き方を目指し、青年海外協力隊に参加します。JICAでのパプアニューギニア駐在を経て、現地政府の要請を受け、日本における水産物の販売窓口としての日本法人設立に参画したことが、パプアニューギニア海産の始まりでした。

以来、生産者の目線を重視して流通・製造を続けています。

人に厳しい会社だった

パプアニューギニア海産は、「出退勤時間は自由」「嫌いな作業はやってはいけない」など独自の働き方でも注目を集めています。“新しい働き方”や “働き方改革”と聞くと、効率を上げるため、人手不足の解消のためといった目的の取り組みをイメージしますが、工場長・武藤北斗さんは、独自の働き方は「効率よりも、人と人との争いをなくすことを重視している」と語ります。

武藤北斗さんは競り人の仕事を築地で3年間勤めたのち、2000年にパプアニューギニア海産に入社。当時から鮮度や製法へのこだわりは徹底していて、工場での作業も現在と変わらない内容でした。ただしそのこだわりが徹底している分、従業員には厳しい会社だったと武藤さんはいいます。

「従業員が泣きながら相談をしてきたり、辞めていったりすることがよくありました。でも工場の会社とはそんなもんだろう、これが普通だと思っていたんです」

変化のきっかけ2011年の東日本大震災。もとは宮城県石巻市を拠点としていた同社は、津波により甚大な被害にあい、事業を継続できなくなります。のちに「関西の取引先がとりあえずの場所として紹介してくれた」という大阪へと移転。以降は大阪で事業を続けています。

震災後、工場そして会社自体を再建するにあたり、武藤さんは「どうしてまたやり直すのか」さらには「なぜ生きているのか」と考えを巡らせます。せっかくやり直すなら皆が仕事を続けたいと思える会社にしようと決めて、まずは自ら現場作業に入ることに。それまでは管理監督役として、事務側として口だけ出していたという武藤さん。現場に入らないとルールは作れないという思いから、現在も毎日現場に入るようにしているといいます。

働き方のルールの理由

著書では新しい働き方への挑戦とその足跡が語られています

パート従業員は小さい子供を持つ女性が多く、いつでも好きな時に休めればいいという思いから「自由出勤制」を採用します。従業員が出勤時間を自分で決められるだけでなく、出勤・欠勤の連絡禁止というルール。パート従業員は現在23名で、3時間勤務の方からフルタイム勤務の方まで様々だそうです。

 朝起きて「今日は働こう」と思えば出勤すればいいし、「休みたいな」と思えば欠勤すればいい。工場が稼働している朝8時30分から17時までの間であれば、好きな時間に出勤して、好きな時間に帰ることができます。だから、朝は行きたくないと思っても、お昼を食べて元気が出たから「よし働きに行こう」でもよいのです。

 そして重要なのは、一切の連絡が必要ないこと。メールも電話もいりません。会社はタイムカードを見て出社したかを判断して給料を支払うだけです。

出勤時間を自由に決めた上で「嫌いな作業はやってはいけない」ルールも。いつどのタイミングで、どの作業をするか、基本的には自ら切り替えられる仕組み。2ヶ月に一度のアンケートで嫌いと宣言した作業は「やらなくてもよい」ではなく「やってはいけない」という決まりです。

同じ作業でも、会社から指示されるのと自分から選ぶのとでは、作業への向き合い方が変わってきそうです。「自分で選択できることが大切だと思っています」と武藤さん。“楽しい職場にしよう”といった目標に向けたルールではなく、エビを剥き続けるというルーティンワークを続けていくことや人間関係といった、働く上での苦しみをなるべく取り除くためにルールを作っていきました。

従業員の皆さんが工場に来てくれているのは、お金を稼ぐため、おいしいものを作るため。『みんなで仲良く和気あいあい、じゃなくていい』と言い始めてから、職場環境は次第に良くなっていったと感じているといいます。

当初、嫌いな作業のアンケートでは好きな作業も尋ねていたそうです。「好き嫌いを尋ねると、『あの人、好きに○を付けているのにやらないな、好きな作業ならやってほしい』となってしまったんです。これは争いを作っていると気づいて、好きな作業を尋ねるのはやめました」というエピソードが印象的でした。

こうした働き方への取り組みは、退職者が減ったことで人件費30%減、従業員の作業技術・効率アップとともに品質も上がるという結果に結びついていきます。働き方は従業員ひとりひとりからの意見や、武藤さん自ら違和感を感じた時などで都度改善を重ねているといい、ルールごとの意図やその詳細は、武藤さんの著書「生きる職場」や、武藤さんのnoteでつぶさに語られています。

Q&A

終わりに、武藤さんがわざわざからの質問に答えてくださいました。

Q.自由な働き方をすると、その日のうちに必要な作業が終わりきらないこともあるのでは?

A.なぜかその日のうちに作業がおさまるんです。パート従業員が23名いるうち15名程度が毎日出勤していて、そのくらいの人数が自由にぐるぐる回っていると、逆に流れが良いと感じます。たまにイレギュラー商品があるなどでうまく手が回らないことがあるが、そこは社員が流れを指示をしてカバーするようにしています。ちなみに(勤務歴に関わらず)パート同士は指示をしちゃいけないルールになっています。唯一指示していいことになっているのは社員だけで、それが社員の役目だと思っています。

Q.「パート同士は指示してはいけない」というルールの真意を教えてください。

A.指示できる人が強くなってしまって、争いにつながるからです。社員は毎日フルで出勤していて、全体を把握する役割だという言い方をしています。

Q.従業員からの意見でルールを変えるとありましたが、その意見は自然と聞こえて来るものですか?

A.最近は自然と意見をもらえるようになりました。話がある人は朝一番に『話があります』と言いに来るので、面談して意見をもらいます。もちろん意見を言わない人もいます。昔は意見を言わない人に対して「こんなに言いやすい環境なのになぜ言わないのか?」と冷たい対応をしていました。でも、その人たちは現在のルールを守っているのだと気づき、意見を言わないという意見だととらえて尊重するようにしています。

Q.パプアニューギニアでの天然エビ漁について、現地の労働環境とはどのようなものでしょうか?

A.私も何度か現地に行って船に乗りましたが、とにかくハード。1日中漁をして、船の上で1ヶ月過ごしています。生産者たちは完全に独立した現地企業ですのでこういった労働環境への口出しはしませんが、彼らが仕事を続けていける価格で買うことは大事だと考えています。

Q.天然エビは、水温上昇など環境問題の影響を受けていますか?

A.パプアニューギニアでは環境整備がされており、まず12月/1月〜3月まで禁漁期が設定されています。また、陸から3マイル以内は漁をしてはいけないという決まりがあります。次に、パプアニューギニア政府がエビ船は15隻までと船の数を厳しく設定しています。15隻ならエビを取り尽くすことはないだろうと(※1隻=年間にエビおよそ50トン程度)。そういう点では資源の確保ができていて、環境がある程度変動しても獲れる量は変わりません。これはパプアニューギニア政府の話で、これ以外に国同士のルールがあると思います。

Q.今後の展望、目標を教えてください。

A.毎日淡々といくことを目標にしています。震災で、平凡な毎日が一瞬でなくなることを感じました。今のコロナの状況もそうで、世の中が突然がらっと変わることがある。平凡な日常を大切にと考えています。

  • 執筆:わざわざ編集部
  • 撮影:若菜紘之
  • 最終更新日:2021.06.26

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