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ろくろ舎

ろくろ舎

木地から始まる循環。

伝統技術を継承しながら「価値を再定義」する、ろくろ舎。

越前漆器の産地福井県鯖江市で、丸物木地師として伝統的な技術を継承しながら”価値の再定義”をコンセプトに、木材を中心に素材、製法にこだわることなくプロダクトを製作している「ろくろ舎」。

漆器作りには、木地師、下地師、上塗り師、蒔絵、沈金師などそれぞれ専門の職人がいます。ベースとなる木地作りを担当するのが木地師で、中でも椀のようにろくろで丸く挽く木地師を丸物木地師と呼びます。ろくろ舎は、この伝統的な丸物木地師の技術を継承しながら、椀をはじめ、器やインテリア、アクセサリーなど、幅広いプロダクトを制作しています。

また“持続可能”をテーマに、福井の間伐材を使用した商品開発をプロデュースする、自分だけの椀をオーダーできるオンリー椀というイベントを開催するなど、作り手の領域に留まらず様々な活動を行なっています。

基本となる、椀。

2018年秋にろくろ舎の工房を訪ねた。

ろくろ舎の代表・酒井義夫さんは北海道出身。東京から沖縄、ニュージーランドまで各地を放浪する旅を経て、木工デザイン雑貨メーカーHacoa(※当時は(有)山口工芸)への入社をきっかけに福井県鯖江市に移住した。

同社退社後は一度木工の仕事から離れ、パン職人の修業を積むなど自身の働き方を見つめ直すことに。その時期に伝統工芸師・清水正義さんと出会ったことで再び木工の道へ。丸物木地師の技術を継承した酒井さんは2014年に独立。ろくろ舎を立ち上げるに至った。

BASE 01シリーズ|飯椀

BASE 01シリーズ|汁椀

わざわざで取り扱うBASEは、その名の通りろくろ舎の基本となるプロダクトライン。酒井さんが木地師の視点からデザインした特徴ある形と、本来であれば隠れてしまう木地の美しさ、下地の素材感を活かした風合いが特徴。

ろくろ舎を通して酒井さんは、漆器やその職人、その産地である鯖江・河和田地区に循環を生むための基礎を作っているのだと感じる。それは職人一筋でなく、かつ移住者視点を持つ酒井さんだからこそできる、伝統の価値を再定義する試みといえるだろう。

BASE01シリーズ|杯・蕎麦鉢・丸盆

BASEというお椀ひとつが、産業そのものの基礎づくりにつながっている。ろくろ舎のお椀が食卓に並ぶこと。そこから伝統ある漆器の良さは伝わり、漆器に触れる機会は増え、産地への理解は深まっていく。やがて後継者が生まれるなど、次世代につながるきっかけのひとつになるかもしれない。

酒井さんはお椀を作ることで、この先も続く価値を作ろうとしている。お椀ひとつ買って使うという、私たちの行動の先には何があるだろうか。

  • 執筆:わざわざ編集部
  • 撮影:若菜紘之
  • 最終更新日:2021.03.03

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