国産の竹で、熊本で作る
ヤマチクは熊本県南関町に本社工場を構える箸メーカー。1963年の創業から半世紀以上にわたり、竹の素材を生かした箸を作り続けている会社です。
ヤマチクの竹の箸づくりは、純国産の天然竹を人の手で一本一本刈り取り、削るところから始まります。現在の日本では、純国産の竹の箸を作ることができる会社はヤマチクだけといわれています。
竹は生育が早いことから“エコ資材”と言われますが、ヤマチクによれば、『加工難易度の高さと安価な輸入素材の台頭によって竹箸づくりは衰退しており、竹を切り出して運び加工するパートナーも現在は数えるほどになってしまった』といいます。
天然素材である竹の箸のメリットは、掴みやすさ、適度なしなりと軽さ。吸いつくような箸先。ヤマチクでは竹にまつわる仕事を持続可能なものにしていくために、コンセプトである「竹の、箸だけ。」にこだわり、竹の箸づくりを通して、生産者から消費者までのよりよい循環を作り出しています。
使い勝手のよい竹の箸
わざわざ代表の平田は昔から竹の箸を愛用してきました。特に先端にかけて細くなっている竹の箸は、お魚などの細かな身も掴みやすく、料理をきれいに食べられる満足感があります。
竹の箸は使い続けているうちに無塗装のものならカビたり、塗装ははげたりしてしまいがちなので、時々買い替えながら使っていくものだと感じています。
ヤマチクのお箸なら材料も含めて国産でありながら安定して生産ができていて品質も高く、それでいてお手頃な価格なので買い替えも気兼ねなくできます。ヤマチクのお箸と出会って5年、ご縁がつながって念願のお取り扱いスタートとなりました。
お箸ができるまで
竹の箸は、まず材料となる竹を「切子さん」が切ってくるところから始まります。ヤマチクでは3年以上の竹を箸の材料にしています。節が黒ずんできた竹を見極めて竹を切り倒し、運べる長さに切り分けてから運搬され、ヤマチクに竹が届きます。
斜面での作業は全身に大きな負荷がかかります。また、育ちきった竹が枯れて倒れると進路が塞がれて竹林に入れなくなるため、竹林自体を日頃から管理しなければなりません。「竹を切る」という言葉だけでは単純な作業に感じられますが、かなりの労力や時間を必要とするのです。
扱いやすいサイズになった竹。これを割り、棒状にしてから、
乾燥させます。竹の端材を燃料にすることで、竹を余さず使い切ります。
乾燥の後、ここから30以上もの工程を経ていきます。まずは削って成形。
機械を扱いながら、手作業で1本1本の箸を形作っていきます。
工場には女性職人が多く在籍していて、中には親子や姉妹で働いている方もいらっしゃいます。子育てや介護で休むのはお互い様だという理解が浸透しきっていて、ヤマチクの社風として定着しているそうです。こうした支え合いは、ヤマチクが国内で製造業を営み続ける上での強みのひとつになっています。
成形した箸は磨きの工程を経て、塗装が施されます。
器具にセットした箸を塗料に沈め、引き上げることで手元部分に色が塗られました。
完成した箸は、検品時に組み合わせの相性を確認し、一膳のお箸としてパッケージされていきます。
食洗機対応の「スス竹箸」。使い心地はもちろん耐久性でも信頼できる1本です。
数多くの料理人から長年愛用されている、ヤマチクの「盛付箸」。箸先が細く、軽くて扱いやすい竹の盛付箸は、日本料理の繊細な盛り付けに欠かせません。(左は「うるし盛付箸」)
軽くて食材を掴みやすいのが竹の箸の良さです。適度にしなって箸先が吸いつくような使い心地を、ぜひ一度ヤマチクのお箸で確かめてみてほしいです。