お金は使うものではなく渡すもの
- 執筆:平田はる香
- 撮影:若菜紘之
- 編集:鈴木誠史
渡した先に何がある?
お金は使うものではなく渡すもの
金は天下の回りものとはよく言ったもので、お金は使ってなくなるものでは決してありません。お金の保管場所が移動していく、循環のしくみでできています。欲しいものを知っている店で買うと、ものと交換したお金はその店に一時的に渡り、お店はそのお金でものを仕入れ、お金は仕入れた先に移動していきます。
一見、単純なことですが、移動した店や会社がどんなスタンスで営まれているかを知ってから購買行動を行うと、その後の使い方をコントロールすることもできるのです。これが買い物は投資行動だと言われる所以です。
例えば、お気に入りのブランド品のバッグを購入したいと思っています。できるだけ安く買うということを目的にして、並行輸入品をネットで探して手に入れたとします。その買い物にはバッグという価値しか存在しません。あなたの手に入れたものは、バッグそのものだけなのです。ブランドのトレーサビリティは無視されて、本来の流通経路で利益を得るべき人たちは全てスルーされていきます。
もし、お気に入りの店で欲しかったバッグを購入したとしたら。少し余計にお金を払うことになったかもしれませんが、お気に入りの店で働く人たちの給料をあなたが出して、お気に入りの店の存続を助けます。
もし、同じ店で他の商品を買い続ける行動を取ったならば、それがコミュニケーションとなって幾重にも重なり、あなたという人はその店で信頼を得ていくのです。いくつかのものと一緒に信頼も得ることができるのです。
渡した先に何が起こっているのか想像しよう
お気に入りの店がどんなことを考えて行動しているか?も大切です。夫婦で営む小さな食堂に通えば、その夫婦の暮らしを助けることができるでしょう。もし大きな店でたくさんの従業員が働いていたらその人たちの生活を助けていくことができます。
それなりの企業が運営している店ならば、Webサイトで企業の運営方針を確認することも大切です。社会活動に力を入れているか?ブラックな雇用をしていないか?トップの発言は適切か?たくさんのメッセージを受け取ってものを購入すると、より良い社会に投資できる可能性を秘めています。
コロナという世界的な困難に対して、お金の使い方がまた問われてきていると感じています。欲しいものを手に入れるだけでない、付加価値の高いお金の使い方をしてみましょう。近隣の大好きな飲食店は困っていませんか?一人で行ってサッと食べに行ってみるのはどうでしょうか?大切なことは何を残したいかを頭の先っちょに置いて行動することです。
わざわざでは2020年度末、全てのスタッフに少しではありますが、月5,000円の外食補助金を福利厚生として出す試みを実施しました。2人以下で行くルールで、近隣の飲食店にランチを食べに行ってもらうことでリフレッシュして仕事に取り組んでもらえたらという考えからです。
会社でランチ補助金を1人5000円出すことにした。近隣の力になりたい飲食店に2人以下で食べに行く又はお弁当を頼む為にだけ使える方式。早速使ってくれててとても嬉しい。ダメなのは飲食店に食べに行くことじゃなくて大人数で群れること。さっと行って、静かに食べてくる。#飲食店にチップを払おう pic.twitter.com/P53sdMyPm4
— わざわざ問う人 平田はる香 (@wazawazapan) January 19, 2021
皆さんにいつも買い物していただいて集まったお金をどうやって使うかをいつも考えています。今は困っている近隣飲食店に落としながら、スタッフにも楽しんで仕事をしてほしい。それがまたお客様にとって良い店となって還元されていく、循環が作れるといいなと思っています。
いつもお店にお買い物に来てくださるお客様、10年以上買い続けてくれるお客様、Amazonでもない弱小オンラインストアで10回も50回も100回もリピート購入してくれる方々。会ったことも話したこともないけれど、買い続け支えてくれることに感謝しかありません。いつもありがとうございます。