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カート

カートが空です

ナチュラルワインを上田市に広めた店。

ナチュラルワインを上田市に広めた店。

  • 執筆:平田はる香
  • 編集:若菜紘之

Fikaは長野県上田市にある、ナチュラルワインのボトルショップとビストロの二枚看板の店である。2012年11月のオープンから8周年を迎えた。

印象的な店舗は、もともと90年前に建てられた自動車屋だったそうだ。1階が工場で2階が住居スペースだった建物を活かし、自分たちでDIYもしつつ、当時の雰囲気をなるべく壊さないようにしつらえたという。

店主の坂田智広さんがワインに合わせて作るビストロ料理。飲みたくなります。

Fikaとの出会い

店内に入って最初に目にすることになるカウンター。近くにあったら通いたい。

オープン当初のFikaはカフェとしてスタートしており、当時わたしはその雰囲気の良さに惹かれて、時々休みの日にカウンターでひとりランチを楽しむただの客であった。そして、ある日。カウンターで「わざわざという店に行ったことがあるか?」という話が他のお客様から始まった。

知ってる知ってる!と盛り上がるのを横目に、自分の店の話を横で聞くのが恥ずかしすぎて何だなと思い、そっと手を挙げて、「はい、その店、わたしがやってます...」これが、Fikaを営む坂田さんとの出会いだった。

さり気なく飾られたものたちのセンスの良さ。

素性を知られてしまうと何だか気恥ずかしくなってしまい、なかなか足繁く通うことがなくなってしまったのだが、坂田さんが時々わざわざに来てくださったり、時々伺ったり、客と客との関係として交流は続いていた。

実を言うと坂田さんがhaluta(※上田市を拠点にパンと輸入雑貨を扱うお店)にいた頃から、わたしはhalutaのただの客だった。店員さんとして働く坂田さんをもう10年以上前から見守っているとも言える。話しかけたことはなかったけれど。なんとなく知っているようで知らないというのは恥ずかしいものである。

2階に上がると1階とはまた違う開放感のある雰囲気に。

いつ来ても気持ちのいい空間だなぁ。

坂田さんとじっくりと話すのは初めてかもしれない、、お互い人見知りです。

大改革。カフェからビストロへ。

使い込まれた厨房器具も美しい。

そして、2017年、Fikaは大改革をする。カフェという営業形態をやめ、ランチを無くし、ナチュラルワインショップとビストロになった。これは大変勇気がいる行動だ。店の場所や内装は変わらないのに、提供しているものがガラリと変わる。もともと利用していたお客様を切ることになるかもしれない。

佇む空きボトル。坂田さんは入荷ワインのほとんどをテイスティングしているそう。

もともとカフェをやりたいと思ってFikaをオープンした坂田さん。メニューの中にワインを取り入れていたが、ワインを飲む人とお茶を飲む人が一緒にいる空間に対して違和感を感じてきたという。ナチュラルワインとの出会いもあり、この文化を上田市に広めたいという想いが強くなって、思い切った変革を行ったのだ。

店の中に更にボトルショップが小屋のように建っている。入りたくなる佇まい。

ランチを辞めたら客が来なくなるだろうと思っていたが、案の定だったそう。最初は苦戦したものの、何度も東京のお店に食べに通って料理の研究を重ね、ナチュラルワインに合う料理を増やし、現在のボトルショップとビストロという形を作り上げていったのだ。

今や、Fikaは長野県東信地区で「ナチュラルワインといえば」という代名詞のような店となっている。上田市のFika周辺にはナチュラルワインを提供する店も増えてきた。

酒屋とビストロとオンラインボトルショップ。上田市にナチュラルワインを広めたいと坂田さんが最初に願った形はどんどん実現されており、近隣にこんな店があることを本当に嬉しく感じている。

ナチュラルワインを日常に。

ボトルショップ内でワイン談義。ワインをおすすめしてもらうのがとても楽しい。

ワインはもうナチュラルワインしか飲まないと坂田さんは言う。ナチュラルワインは気軽でデイリーで日常に合う。ソムリエがかしこまって赤ワインを注ぎ、きちんとしたテーブルでコース料理をナイフとフォークで食べて飲むことだけが「これぞワイン」という時代は終わったのかもしれない。

気軽な家庭料理に合わせて、ピチピチと発泡した軽いワインをごくごく飲む。中華でも和食でも料理もなんでも構わない。日常に溶け込んだものとして、ほんの少し良い気分を味わいたい。

カウンターに座ると坂田さんが中で料理しています。

ナチュラルワイン、自然派ワイン、ヴァン・ナチュール。様々な呼び方があるが、オーガニック栽培で作られたブドウで作られたワインがそう呼ばれている。

できるだけ亜硫酸塩の添加も少なくして、手間ひまかけられて作られるナチュラルワインだが、フランスのワインの規格の中ではヴァン・ド・フランスという一番格下のランク付けだそう。言わば正統派ワインに挑む、反体制的でロック的なワインでもあると坂田さんは言う。

敢えて安定させない、自然のままに生まれたナチュラルワイン。ぜひ一度味わって欲しい。

とっておきのナチュラルワインセット

2020年、Fikaのご協力で、わざわざのシュトレンとFikaのワインを一緒に味わえるセットをご用意することができました。わざわざと同じ東御市のチョコレート専門店OJASのチョコと、坂田さんセレクトのナチュラルワイン、そしてわざわざのシュトレンが揃った「とっておきのナチュラルワインセット」。

お客様にもご好評をいただき、翌2021年以降もコラボが続いています。とっておきのナチュラルワインセットは、Fikaオンラインショップにて限定販売いたします。詳しくはセット内容ご紹介ページをご覧ください。どうぞお見逃しなく!

無くなり次第終了の数量限定セットです。

日常に溶け込むワインとお菓子。まずはこのセットで味わってもらえたら。

平田はる香

2009年長野県東御市の山の上にパンと日用品の店「わざわざ」を一人で開業。2017年に株式会社わざわざ設立。2019年東御市内に喫茶/ギャラリー/本屋「問tou」を出店。2023年度に3,4店舗目となるコンビニ型店舗「わざマート」、体験型施設「よき生活研究所」を同市内に出店。また初の著作「山のパン屋に人が集まるわけ」が2023年にサイボウズ式ブックスより出版された。趣味はボルダリングとよき生活。

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