育陶園
沖縄の“景色”をつくりたい
育む器、育陶園
育陶園は、300年続く壺屋焼の窯元です。先祖から受継いできた壺屋の地で、沖縄県内最大の工房であり、2017年には総勢30名の仲間と共に、沖縄の土・手作りの釉薬にこだわり、一つ一つ焼物を生み出しています。量より質をを大切に、価値を高め、限りある資源で作られる壺屋焼を、作り手も売り手も使い手も、双方納得のいく「形と価格」を目指して、壺屋という土地に根ざし、変化する環境に対応しながらも、「壺屋焼らしさ」「育陶園らしさ」を軸に、新しい壺屋焼の表現に挑戦し続けています。
沖縄という風土で育まれた器
人と人をつなぐ陶器
“個”ではなく“チーム”でつくる
沖縄に行った時に育陶園さんにお邪魔して、夕食にバーベキューをご馳走になりました(おいしかった!)。まさにチーム力を感じました。次々に出てくるおいしい沖縄料理を作るチームワーク。おいしいお肉をタイミング良く焼いてくれるチームワーク。仲良く手際よく。育陶園さんでは器もパートパートで分業して効率良く流して作業されていて、そのチームのあり方と器作りが重なって感じることができました。本当にいいチームワークです。出来上がった器をみて納得です。
もちろん料理は育陶園の器に盛り付けられる。おいしかった!
沖縄でしかつくれない
育陶園でしかできないものを
やちむんは赤土が基本
沖縄の粘土は鉄分の多い赤土です。そこに白い土をかけて白い器のようにみせているのがやちむんの特徴です。白土は貴重でそうやってお化粧して作ったのが始まりだと、育陶園の高江洲若菜さんに教えていただきました。昔は素焼きをせずにそのまま焼いていたのが伝統だったということですが、今では強度をあげるために、素焼きをして、仕上げをしてからもう一度焼くのが、一般的になったそうです。薄造りにすると割れやすくなるため、沖縄のやちむんは、ぽってりとした厚みと白化粧に模様が施されたのが特徴です。
白化粧を彫刻刀で削って模様を入れる。彫刻刀も手作り。
育陶園さんで特に目を引いたのはこの線彫という技法でした。沖縄のやちむんと言えば、おおらかな絵付けをイメージしていましたが、繊細な唐草模様をリズム良く削っていくこの作業を見た時に、おおらかさと緻密さの融合した新たな視点を見たような気がしました。とっても美しい器です。
- 執筆:わざわざ編集部
- 撮影:平田はる香
- 最終更新日:2021.04.20