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カート

カートが空です

椅子に座りながらスキンケアをしている平田さんのイラスト

スキンケアは義務ではなく、自分をいたわる贅沢な時間。

「いくつになっても、美しくありたい」。きっと、多くの方が願っていることだと思います。

でも、美しさって何でしょう? どうすれば身につけられるものなのでしょう?
この連載では、美しくあるために必要なことを、さまざまな人にインタビューしていきます。

今回お話を伺ったのは、わざわざ代表の平田はる香さんです。
いつお会いしても、ついつい目が行ってしまうほど肌が美しい平田さん。講演などでもよく肌を褒められ、実際に若い頃からスキンケアに力を入れてきたそうです。

平田さんの愛用アイテムはわざわざでも取り扱っていますが、実は今、わざわざオリジナルの基礎化粧品も開発中とのこと。ますますスキンケアについて詳しくなっていらっしゃいます。

「肌の美しさって、どう育てていけばいいのですか?」平田さんに、スキンケアについてお話を伺いました。

  • 執筆:土門蘭
  • 編集:あかしゆか
プロフィール:
平田はる香
2009年長野県東御市の山の上にパンと日用品の店「わざわざ」を一人で開業。2017年に株式会社わざわざ設立。2019年東御市内に喫茶/ギャラリー/本屋「問tou」を出店。2023年度に3,4店舗目となるコンビニ型店舗「わざマート」、体験型施設「よき生活研究所」を同市内に出店。また初の著作「山のパン屋に人が集まるわけ」が2023年にサイボウズ式ブックスより出版された。趣味はボルダリングとよき生活。

中学時代に心に決めた「50歳で勝つ」

──いつもお会いするたびに思うのですが、平田さんって本当にお肌がきれいですよね。

平田:ありがとうございます。なんか恥ずかしいな(笑)。

──過去の記事でも話されていましたが、平田さんはスキンケアをすごく大事にされていますよね。いつ頃からスキンケアに興味を持ち始めたんですか?

平田:中学生の頃にはすでに興味を持っていたと思います。その頃私、「周りの子に勝てる気がしないな」って思っていたんですよ。

──勝てる気がしない?

平田:小中学生の頃って、だいたいモテる子が決まっているじゃないですか。足が速い子とか、可愛い子とか、頭がいい子とか。その中で私、全然勝てる気がしなかったんですよね。それで友達に「私、今は勝てる気がしないけど、50歳で勝つから」って言ったんです。みんなぽかんとしていましたけど(笑)。

──「50歳で勝つ」! 中学生の平田さんは、どういう意図でそう言ったんでしょう。

平田:「50歳で勝つ」というのは、顔の造作とか生まれ持ったものでの勝負ではないんですよね。歳をとってみんな老けていく中で、いかに若々しくあれるか、清潔感を保てるか。話す言葉や所作や服装に、知性やセンスを感じるか……。そういうことの総合力で勝負しようと考えたんだと思います。当時のその言葉はずっと記憶に残っていますね。そのあたりからかな、肌をきれいにしようと意識し始めたのは。

──生まれ持ったものを努力で磨いていこうということですね。中学生でそれを悟るのは早いなぁ……。

平田:その頃から、ファッション誌の美容コーナーやコスメコーナーは隈なく読んでいましたね。田舎に住んでいたので実際に手に取れる機会は少なかったけれど、肌が荒れたら皮膚科に行くとか、化粧水を買ってつけるとか。そういうことは当時から気をつけていました。基本的に乾燥肌で、何もしないと粉が吹いてきちゃうタイプなんです。だから昔から「保湿しなきゃ」という意識は強かったですね。大人になってからは化粧品のレビューサイトを見たり、最近ではYouTubeやInstagramで美容情報を収集して試してみたり。そういうことが、昔からすごく好きなんです。

──ちなみに、平田さんは今おいくつなんですか。

平田:48歳です。

──あと2年……。宣言通りのお肌ですね。

平田:あはは。ありがとうございます。

──それでは今日は、そんな平田さんにどんなスキンケアをされているのか聞いていこうと思います。よろしくお願いします。

平田:はい、よろしくお願いします。

 

平田さんのスキンケア事情

──平田さんは、普段どんなスキンケアをされているんですか?

平田:ほんと普通なんですけどね。まず、化粧落としはクレンジングバームを使っています。手のひらに出して温めて、擦らないように薬指で優しく、くるくるっと。顔全体のメイクを落として、洗顔はこれだけですね。

──ダブル洗顔はしないんですね。

平田:最近、クリニックに通っているんですが、そこのドクターに顔を洗いすぎだって注意されたんですよ。「平田さんは乾燥肌なんだから洗いすぎちゃだめ。肌には本来バリア機能が備わっていて、皮膚から自然と出てくる油分はすごくいいものだから、それを落としちゃだめですよ」って。

それで夜はクレンジングだけ、朝は洗顔なしにしました。ぬるま湯ですすぐくらい。そうしたら、肌の調子がすごく良くなったんですよ。自分の肌の性質を知って、それに合うやり方をするのがよいんですよね。これがよいというやり方は本来ないんです。乾燥肌には乾燥肌の、脂性肌には脂性肌の合う方法がありますね。私は乾燥が酷いので洗いすぎるのが向いていなかったんです。

──へえー。

平田:化粧を落としてお風呂から上がったら、ケンソーのハーブウォーターをシュシュッと肌に吹きかけます。これは肌に潤いを与えるというよりは、単純にいい香りがして気持ちいいから。今使っているのはネロリの香りなんですが、ミントやカモミールなど種類が多く、選ぶのが楽しいんですよね。

その後には、化粧水をこれでもかというくらい塗っています。でも特にこれって決めていなくて、今は日替わりで3種類くらい使いまわしているかな。例えば無印良品の敏感肌用のものだったり、ビュリーの拭き取りタイプのものだったり。

平田:そのあとは美容液ですね。今はクリニックで買った、プラスリトリアの美白美容液を使っています。もっちりとハリのある感じになるのが気に入っていますね。

そして最後にクリームを塗っています。私は乾燥肌なんで、「ベタベタになるくらい塗ってね」とドクターに言われたんです。今使っているのはビュリーのクリームなんですが、乳液に近いとろみのあるテクスチャーで、使っていて気持ちいいんですよね。それでおしまい。だから5ステップかな。

スキンケア商品はもっと自由に選んでいい

──ありがとうございます。お話を聞きながら、まず化粧水を日によって変えていることに驚きました。毎日同じものを使わないんですね。

平田:そうですね。実は今、わざわざで化粧水を開発していて、あらゆる化粧水の成分や役割について調べたんですけど、化粧水に使われている基本成分は大体決まっていることがわかったんですよ。違うものと言えば、ブランドが掲げている特徴のための特別な成分だけ。美白がポイントなら美白成分、乾燥しないということがポイントなら潤い成分、そういった特徴を出す成分が個性になるんです。それ以外の基本成分はほぼ一緒なんです。

ということは、どれを使っても大体同じだし、自分の好みで選んだらいいんだなと気づいたんですよね。香りとかテクスチャーとかデザインとか、好きなものを選んだらいいんだなって。

──それは知らなかったです……。同じものをずっと使い続けないといけないと思っていたので、「好きなものを使っていい」というのは目から鱗でした。

平田:気をつけるのは、正しい使い方をすることだけですね。皮膚は摩擦に弱いので、バンバン肌に叩き込むとか、ゴシゴシ擦っちゃうとかはだめ。優しくプッシュしながら、肌を労るように、好きなものを好きなだけ使う。それだけ守っておけば、あと何でもいいんじゃないかなって思っています。

──あと平田さん、ライン使いもされていないですね。メーカーやブランドもバラバラで。

平田:ドクターに以前、「ライン使いしても全部の商品が自分に合うかはわからないから、それぞれ自分に合うものを使うのがいいですよ」って言われたんですよ。あと、化粧品会社の方とお話した時には、「香りも揃えなくていい」と言われました。グレープフルーツ系の香りのものを使った後に、バラ系のもの使ったりすると、意外と混ざっていい香りになったりする。そういう楽しみ方ができるから、ライン使いは気にしなくていいって。

──そうなんですね! それを聞くと、もっと自由に楽しんでいいんだなって気持ちになりますね。

平田:そうそう。自由に選んでいいと思いますよ。私は香りとテクスチャーで選んでます。香りは人工香料じゃなくて、天然成分由来のナチュラルなものが好きだなとか。テクスチャーはサラッとしているものよりも、少しとろみのあるものが好みだなとか。成分はそこまで気にしていないですね。開発のために調べはするけど、普段は見てもいない(笑)。それよりも、使っている時に幸福感を得られるかどうかを重要視しています。

肌にとって大事なのは、基本の生活習慣

平田:そう思うと、私はスキンケアにあんまり「効果」を求めていないかもしれない。それよりも肌にとって大事なのは、普段の食生活・運動・睡眠だと思っているので、そちらはすごく気をつけていますね。

──肌につけるものよりも、生活習慣の方ですか?

平田:はい。特に今は、睡眠を大事にしています。最近は毎晩21時に布団に入って、22時台に寝ています。平均9時間睡眠を目指しているんですよ。

──え、9時間! 長いですね!

平田:出張が続いたり、仕事でトラブルがあった時には、睡眠時間が短くなっちゃう時もあるんですけどね。でも、大体8時間くらいは寝ているかな。そうするようになってから、肌の調子が全然違うんですよ。肌というより、健康そのものに睡眠が大きく影響しているのを実感しています。

私、もともと眠りが浅い方なんです。数年前なんかは4、5時間しか寝ていなくて。その代わり食べ物にはすごくこだわっていたんですけど、よく寝ていないから疲れやすいし、メンタルが不安定になりがちだったんですよね。

──はい、はい。

平田:だけど最近、ボルダリングやパーソナルトレーニングを始めて体を動かすようになってから、すごくよく眠れるようになったんです。すると、ますますご飯もおいしく感じるようになって。結局、食べる、動く、眠るは全部必要だし繋がっているんだなと思いました。今はどれもバランスよくできているから、数年前より段違いで元気。肌の調子もすごくいいですね。

──確かに平田さん、数年前よりも明るく元気な雰囲気があります。

平田:やっぱりそうですか(笑)。最近はもう、嫌なことがあってもおいしいもの食べて寝たら忘れちゃってます。自分の喜ばせ方を知ったんでしょうね。スキンケアも、そのうちの一つかなぁ。

 

天からもらったギフトを大切にする

──平田さんにとっては、スキンケアは「自分を喜ばせる時間」なんですね。

平田:私、スキンケアにかなり時間をかけるんですよ。夜はどんなに短くても20分はかけちゃう。パパパって終わらせず、両手を人肌に温めてゆっくり肌を包み込みながら、ていねいにていねいに。1日の中でその時間をとても楽しみにしているんです。

──ええっ、20分も! 私は5分もかけていないかもしれません……。でもそれだけじっくり手間暇かけてあげると、肌が喜びそうですね。

平田:そうそう。自分に手をかけて、労ってあげてる感じかな。それって時間の使い方として、すごく贅沢じゃないですか?

──めちゃくちゃ贅沢です。しかも、お金かけなくてもできることですよね。

平田:できるできる。私にとってのスキンケア時間は癒しですね。「やらなくてはいけないもの」ではなくて、すごく楽しみにしてる。

──ああ、なんだか話しながら、自分が義務感でスキンケアをしていたことに気づきました。でも平田さんにとってはご褒美みたいな時間なんだろうなぁ。

平田:そうだと思います。毎晩お風呂から出たら、ソファのところまでスキンケアグッズが入っているカゴを持っていくんですよ。そこでゆっくり、顔から体、足の爪の先までケアするんです。

──へえー、爪の先まで。

平田:今通っているネイリストさんに「爪も油分を必要としているから、保湿してあげてくださいね」って言われたんですよ。それで素直に言うことを聞いたら、爪がピカピカになって。そういうの、嬉しいじゃないですか。

あと、髪の毛もそうですね。昔は乾かしもしなかったんだけど、ある美容師さんに「毎晩必ず乾かして」と言われたんです。「平田さんのカールした髪の毛は天からもらったギフトなのに、大切にしないのはよくないですよ」って。それで言う通りにしていたら、どんどん髪がきれいになっていったんですよ。

──「天からもらったギフト」。髪の毛だけじゃなくて、肌や体にも同じことが言えますよね。自分が持っているものを手入れして大切にすること。自分を喜ばせること……。

平田:そうですね。 今後はわざわざで、そういう基礎化粧品を作りたいと思っています。基礎化粧品っていろいろあって何を使ったらいいかわからないという方たちに、「とりあえずこれをつけておいたら気持ちいいよ」とおすすめできるものを作りたい。シンプルで、いい香りがして、肌に乗せると気持ちよくて。スキンケアの時間を、自分を労る時間にできるようなものを作りたいですね。

──今日のお話を聞いて、スキンケアの時間が「やらなくちゃいけないもの」から「自分のための贅沢な時間」になりそうな気がしてきました。ありがとうございました!

スキンケアのために、今日からできること

最後に平田さんに、「スキンケアのために、今日からできること」について伺いました。

「今夜のスキンケアを、いつもより時間をかけて丁寧にしてみるのはどうでしょうか。例えば、両手をお湯や蒸しタオルで温めてから、化粧水をじっくり肌に乗せてあげる。そのひと手間って面倒だけど、すごく贅沢ですよね。きっと肌が喜ぶし、これからのスキンケアが楽しみになると思います」

そう言いながら、頬をゆっくり両手で包み込む平田さん。いつもこんな風にスキンケアをされているんだなぁと思うと、そんな時間があるのが羨ましくなりました。私もさっそく、今晩やってみようと思います。

土門蘭

文筆家。1985年広島県生まれ、京都在住。小説・短歌などの文芸作品や、インタビュー記事の執筆を行う。著書に『100年後あなたもわたしもいない日に』(寺田マユミ氏との共著)、『経営者の孤独。』、『戦争と五人の女』、『そもそも交換日記』(桜林直子氏との共著)がある。2023年4月には、2年間の自身のカウンセリングの記録を綴ったエッセイ『死ぬまで生きる日記』を上梓。同作品で第一回「生きる本大賞」受賞。

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