「日本のジーンズ=もんぺ」を11年間着続ける理由
- 執筆:わざわざ編集部
- 撮影:若菜紘之
もんぺ歴11年、平田のコレクション
今回、12本のもんぺを見せてもらいました!これはコレクションの一部で、現在20本ほどのもんぺが現役として活躍中だといいます。
平田は毎年「もんぺ博覧会」でもんぺを買い足しており、今年も2本購入したとのこと。年によって着たくなるもんぺが違うそうです。
コーディネートが難しそうな柄ものはシンプルなトップスを合わせたり、ベーシックな色合いでまとめたりしながら上手に取り入れています。
柄は個性がある分、ハマっている時期は繰り返し着るものの、自分の中のブームが終わると穿かなくなることもあるのだとか。とはいえ、また着たくなる時がくると思うと話していました。
この考え方は、服を楽しむコツのひとつかもしれません。心踊る柄に出会っても、飽きたら着なくなると思って買うのを諦めた経験はありませんか?たくさん着て、飽きたら次のブームを待てばいいんだと思えたら、選択肢が一気に増えそうです。
もんぺはくるくる丸めると、こんなにコンパクトに。平田はもんぺを出張ウエアとして重宝しています。スーツケースの中でかさばらないし、洗濯してもすぐに乾くので便利です。
長期出張時は3本ほど、違う特徴のもんぺを持っていくといいます。トップスが同じでももんぺを変えるだけで印象が大きく違ってきます。荷物を減らしつつ、コーディネートの幅を広げてくれるのはもんぺの良さのひとつです。
ジーンズともんぺの共通点
もんぺ以外に、長く着続けている服はジーンズだと平田は話します。ジーンズともんぺは作業着にルーツがあることと、「型」があることで共通しています。
炭鉱労働の作業服だったジーンズは次第に日常着として取り入れられるようになり、ベルボトムやスキニーといった様々な型が生まれました。ダメージやワンウォッシュなど生地で変化を出しながら、ジーンズの型はファッションの中にあり続けています。
うなぎの寝床の代表である白水さんはもんぺをプロデュースするにあたって、ジーンズの変遷がもんぺにも通ずると考えていました。
アメリカの「ジーンズ」は、元来鉱夫のワークパンツとして使用されており、それが日常着に変わっていったという歴史があります。日本の「もんぺ」も農作業からはじまり、日常着へと変化していく可能性があるのではないかと取り組みを続けています。 うなぎの寝床 日本のジーンズ「MONPE」コンセプトより
座っての作業が多い農作業をやりやすくするためにも、腰回りや太ももをゆったりとさせたもんぺ。これをひとつの型として、うなぎの寝床は多種多様なもんぺを作り続けてきました。
「型」があるからこそ
うなぎの寝床のもんぺの型は2種類あります。昔ながらの型である「ファーマーズもんぺ」と、ふくらはぎを細身に絞った「現代風もんぺ」です。
2つの型のもと、生地のバリエーションの豊富さがもんぺの多様性を生んでいます。基本の久留米絣だけでも柄と無地とで山ほど種類があり、さらには近江のリネンや福山デニム、備後節織など全国各地で生産されたすぐれた生地のもんぺもあります。
さまざまなもんぺが登場するから飽きがこない、と平田はいいます。もんぺ博覧会の度にその時の気分に合うもんぺが見つかるし、型は一緒だからサイズ感で迷うこともありません。親和性が高いので着回しもしやすく、だからまた着たくなる。気が付いたら11年が経っていました。
白水さんが思い描いた通り、もんぺは日本のジーンズとして日常着になったのだと感じます。現に平田をはじめ、一度もんぺの虜となった人たちは、日々の着回しにもんぺがすっかり馴染み生活に欠かせない服のひとつとなっているようです。
型は変わらないのに飽きさせない。
型が変わらないから穿きやすい。
わざわざはこれからも、もんぺを紹介し続けていきます。