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コミュニケーションについて考えた話

コミュニケーションについて考えた話

人間同士全てがぴったり合うことなんてほぼ皆無。ただその中で何か折り合いをつけて仲良くしようとしたり、もっとお互いを知ろうとして取るのがコミュニケーション。

社会人になると、所属するコミュニティが狭くなって、共通項が近い人としか会わなくなるので、段々人の付き合いが狭まってきます。そういう中での付き合いは気楽で心地よいものではありましたが、6年前に店を始めたことで状況は一変しました。店をやるということは、取引先からお客様、スタッフから何から何まで人付き合いの集合体なんです。

わざわざ代表 平田はる香が開業時より毎日綴ってきた膨大な文章のアーカイブから、厳選してnoteに掲載するわざわざ傑作選。この投稿は2016年1月のFacebook投稿の再編集版です。

  • 執筆:平田はる香
  • 撮影:若菜紘之
  • 編集:鈴木誠史

人と人が分かり合うのに必要なもの

って何だと思いますか?

これは会話に他ならないんです。話をすることで分かり合っていく。それが自分と違う主義主張を持っていたとしても、話して話し尽くすことによって理解が生まれ、お互いが認め合っていく。

日本に昔からある「察する」という文化はどちらかの我慢でしかないことが多く、女性と男性の立場が対等な社会になっている先進国では通用しなくなっている気がします。空気読めとか最近は言いますけど、あれは日本独特な文化な気がして私は好きじゃありません。それよりお互いしっかり自己主張した方がより深いコミュニケーションが生まれてきます。

話をしない時間が続くと色んなことが起こります。特に出会ったばかりで相手との信頼関係が成り立っていない、人間関係の始まりの時は、心の中で想像した相手の気持ちと本当のことにギャップが出てくる場合が多いです。

話さない時間が長くなると、推察からのコミュニケーションをとるしかなくなります。ポジティブな思考の人は自分に都合の良い相手感情を想像し、ネガティブな思考の人はよく思われていない自分を想像し、どちらの思考の人も本来の相手の気持ちとは懸け離れた想像をしているのかもしれません。



ただ話がしたかったのだ

元日は東京の二つの好きな店にお邪魔してきた。新井薬師の泥酔割烹 柾と、浅草のyohaku。二つの店に行って、本当に楽しくて、行ってよかったなぁという思いが一つ。それから今一番必要なものが改めてわかった気がしました。それが、コミュニケーションでした。

柾とyohakuに行くこと。何を目的にして飯屋と服屋に行くのか。美味しいご飯と素敵な洋服という目的は、案外少しの理由かもしれない。私は柾で店主に会い積もる話をしながら美味しいご飯をいただきたかった。yohakuで一緒に作っているTシャツのことも展示会のことも話したかったけど、それよりただ単純に顔を合わせて話がしたかった。

わざわざを思い浮かべる。お客様は果たしてパンを買いに来ているだろうか。その他にしたかったことはないだろうか? コンビニやスーパーでは味わえないコミュニケーションを求めに来ているのではないだろうか? パンや日用品をカウンター越しに買いながら、他のものを実は買っている。そんなことはないだろうか?

コミュニケーションはルーティンワーク

どんな仕事にも確実に役立つスキルがあるとしたら、コミュニケーション能力をあげたい。システム開発でも商店経営でも起業家でも教師でも車屋でも絵描きでも音楽家でも、コミュニケーション能力が高い人は必ず人に必要とされる。年を重ねれば重ねるほど、その能力の重要性が身にしみてくる。

例えば、初めてするバイトに接客業を選んでみよう。コンビニでもファストフードでもなんでもいい。笑顔で挨拶をするだけで相手に心地よい空間を与えることができる。それができたら、お客様の名前を覚えよう。その単純かつ最も単純な作業を大事に思い実践すると一つの門が開けてくる。

誰でもできるような単純作業を見下してはいけない。どんなクリエイティブな仕事でも先っちょは必ずルーティンワークでできている。そのルーティンワークを続けることによって見えることが沢山ある。

私は昔から人付き合いが苦手で、自分中心の人間だったので、人付き合いは身勝手なものでした(今でもそういう側面がありますが)。かつて苦手としていたコミュニケーションが今わたしの仕事の中心になっている。そして、それを楽しいと思えるようになってきた。人生とはなんと面白いもんですなぁ。

【編集より】現在わざわざには5名のリモートスタッフが在籍しています(うち2名は土曜日だけ会える副業スタッフ)。編集鈴木はリモートでの入社から約1年経ち、「無駄なくひとり淡々と仕事する」と「社員間のコミュニケーションを日々の仕事に活かしていく」の間で少しずつ難しさを感じるようになってきました。

そこでわざわざでは現在、社内で「コーチング」を受けて学ぶ機会を設ける取り組みを始めています。コーチングとは、対話を通じて自らの気づきを生み出してくれるもの。

オフィス/リモートを問わず「同僚や上司に相談するほどのことでは…」という小さな悩みが、実は大きな問題の種となっていることがあると思います。コーチングは徹底して自己の課題について相手に話し伝えていくので、(アドバイスを受けて“分かった気になる”のとは異なり)思いもよらぬ気づきがあったり、自らの深い理解につながっています。

おまけに先日、事務所スタッフがリモートスタッフを集めたランチ会も開いてくれました。こうしたコミュニケーションにまつわるわざわざの取り組みについても、今後お伝えしていけたらと思います。(編集> 鈴木誠史

平田はる香

2009年長野県東御市の山の上にパンと日用品の店「わざわざ」を一人で開業。2017年に株式会社わざわざ設立。2019年東御市内に喫茶/ギャラリー/本屋「問tou」を出店。2023年度に3,4店舗目となるコンビニ型店舗「わざマート」、体験型施設「よき生活研究所」を同市内に出店。また初の著作「山のパン屋に人が集まるわけ」が2023年にサイボウズ式ブックスより出版された。趣味はボルダリングとよき生活。

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