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イケウチオーガニック

イケウチオーガニック

わたし達の作るタオルは食品である。

タオルをとことん突き詰める

出会いのきっかけは牟田口さん

イケウチオーガニックとの出会いは突然だった。2019年2月に東京で行われたトークイベントに登壇したのだが、会場にイケウチオーガニックの牟田口さんが来てくださった。終わった後に声をかけてくださり、普段は全くそんなことはしないのに、夕飯をご一緒してもう少しお話ししませんか?と誘ってしまった。イケウチオーガニックのタオルの話はインターネットの中でちらほら聞き及んでいて、牟田口さんのインタビューを読んだこともあって興味が湧いたのだった。オーガニックのいいタオルを作っているということくらいしか前知識がないけれど、本当はどんなタオルを作っているんだろうか。

イケウチオーガニック代表の池内計司さん

その数日後、福岡出張の帰りに時間があることに気がついて、イケウチオーガニックの東京ストア(表参道)にお伺いしたいと牟田口さんに連絡すると、池内さんも偶然東京にいるということでお会いできることになったのだった。イケウチオーガニックの成り立ちをご本人の口から聞いて、牟田口さんにタオルを一つ一つ説明していただき、買い物を楽しんだ。池内さんや牟田口さんの言葉は「すごいな」という感動を呼び起こしたけれども、そう、まず自分が買って使ってみないとまだよくわからない。

それから毎日イケウチオーガニックのタオルを使った。

わたしはもしかしたら取り扱うかもしれないという視点でいつも買い物をする。テストも兼ねているので、バランスを見て商品をABテストできるように購入するのだ。職業病とも言えるけどこれは趣味と実益を兼ねたお楽しみでもあるので、毎回自腹で買うことにしている。沢山ある商品の中から、色合いがわざわざ的なラインナップであることと、薄手・中厚・厚地の3タイプで違いを確かめられるものと、取り扱い商品にないタオルケットを購入した。

オーガニック120の左:新品、右:使用半年。

半年間イケウチオーガニックのタオルと過ごした。わざわざでは既に同じ今治市のタオルメーカーkontexの商品と、徳島のkinofを取り扱っている。イケウチオーガニックのタオルはそのどれとも違う使い心地だった。圧倒的に吸水率がいいと感じる。風呂上がり、タオルを肌に添わせるとスッと水分がなくなっていくような気がする。同じところを何回も往復させる必要がない。とても使い心地がいい。

タオルケットに包まれるのが幸せすぎる。。

使い続けていくうちに、イケウチオーガニックのタオルを販売したいという思いが強くなっていった。製品はもちろん、会社としての取り組みも伝えたいし、とにかく、イケウチをもっと世の中の方々に伝えたいと思った。取り扱いを希望する旨、工場の取材、店舗での商品研修をお願いして、8月の後半に工場へ伺ったのだった。

食べられるタオルを目指して

イケウチオーガニックを、ただオーガニックコットンでタオルを織っている会社と認識しているとしたらもったいない。原材料の調達からタオルが仕上がるまでのデータを公開し、工業製品に匹敵するような精密さをオーガニックで体現している稀有な存在である。2073年(創業120周年)までに赤ちゃんが食べられるタオルをつくるという目標を立てているように、安全性の追求に余念がない。オーガニックはふんわりしやすいし、雰囲気で謳いやすい。それをイケウチはやらない。そこがものすごく魅力的に感じた。

海の水より透き通っていると言われた廃水

1992年に完成した工場の浄化施設

イケウチオーガニックを語る点で欠かせないのが、今治市のタオル関連企業7社で立ち上げた染色工場(インターワークス)の廃水施設だろう。瀬戸内海周辺の地域では、海を汚さないために瀬戸内法(瀬戸内海環境保全特別措置法)と呼ばれる、世界でもっとも厳しいとされる廃水規制が敷かれている。新しく廃水施設を作るには、基準をクリアしなければならず、莫大な投資が必要となる。

廃水施設の説明を池内さんに説明していただく。

1992年に完成した施設は、バクテリアによって長時間をかけて廃水を処理するもので「海の水より透き通っている」と言われた。この施設が注目を浴びたことで、オーガニックタオルのブランドを持つデンマークのタオルメーカー「ノボテックス」の社長と親交が生まれ、池内さんは深く影響を受け、オーガニックのタオルの製造に意欲を燃やすことになるのだ。

電力を全て風力発電から買うこと

グリーン電力証明システム

池内さんは「きれいごとのようなピュアな世界をどんどん突き詰めた」と言う。イケウチオーガニックは、工場から直営店まで使用する電気を全て風力発電でまかなっている。と言っても実際に電気を発電しているわけではない。全国の風力発電所と風力発電でつくられた電気を使いたいという企業や団体を結びつけるサービスを行なっている会社があり、そのサービスを利用しているのだ。通常の電気料金の1.2倍の料金がかかると言う。自分の会社に置き換えて、毎月のコストが単純に1.2倍に膨れ上がることに投資できるだろうかと考えた。やってみたい。だけど勇気がいる。池内さんと話していると、どんどん勇気が湧いてくる。できるかもしれないと思った。

イケウチのタオルができるまで

工程1:整経

糸をクリールと呼ばれる機械にセットし、大きなビームという糸巻きに糸をかける。

工程2:製織

新旧さまざまな織機でタオルを織っていく。

工程3:解反

効率よく染色できるようにミシンでタオルのロールをつなぐ。

工程4:染色

糸についた糊を洗い流してから、地下水をたっぷり使って染色を行う

染色工場のスタッフと試行錯誤しながら、色合わせをしている。

工程5:洗浄

タオルをたっぷりの水で洗って。

洗浄で色がついた水は...

だんだんとバクテリアに分解されて

綺麗になって海に戻っていく。

工程6:乾燥

少しずつ優しく水分を減らすのが、ふわふわの風合いを生み出す。

工程7:縫製

両脇の耳をミシンで縫います。

両脇を縫われたタオル。

工程8:裁断

人の手でタオルを一枚一枚カット。

工程9:縫製(ヘム縫)

上下を縫い、IKEUCHI ORGANICの黄色いタグがつく。

工程10:検品、完成!

丁寧に検品して完成です。

わざわざはイケウチのタオルをNO PLASTICで届けたい。

わざわざは、環境に配慮した梱包をする<NO PLASTIC>という取り組みを始めている。タオルはパイルが立っているので、糸のほつれが出やすく一般的に梱包にビニール袋を使う。イケウチオーガニックのタオルも例外ではないが、それがイケウチには似合わないと思ってしまった。だからタオルを紙で包むことに決めた。いき過ぎた会社のタオルをいき過ぎた会社がお届けする絶妙なコンビネーションだと思う。(一部紙で包めないサイズはビニール袋にてお送りします。いずれはこれもビニール袋から脱却したい。)お客様、パイル抜けもお手柔らかにお願いしたいです。パイルが抜けることより100年先、1000年先の未来を見据えた行動だと信じて取り組みます。

左から:牟田口さん、代表 池内さん、社長 阿部さん

歓迎のボードを描いてくれたイケウチのみなさん。感激した。。

社長の阿部さんは本社で見かけた時にずっと洗濯してた。笑。

みんなで最後に行ったお寿司屋さん。おいしかったー。

イケウチオーガニックの会社のハンパない取り組み方に度肝を抜かれた1日だった。会社としての姿勢に強く憧れて、今後わざわざをやっていくにあたって、真似したいと思うことがたくさんあった。すばらしい会社の作った製品を取り扱えることにワクワクしている!

  • 執筆:わざわざ編集部
  • 撮影:若菜紘之
  • 最終更新日:2022.04.01

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