服の個性を大解剖。まといたくなる服はどれ?
- 執筆:わざわざ編集部
- 撮影:若菜紘之
すれ違った後で気になって思わずもう一度見てしまうような、色柄や形が特徴的な服。いたってベーシックで何の変哲もなさそうだけれど、安物ではない、いいものであると一目で分かるような存在感の服。生地や製法に歴史と技術が詰まっている服。
わざわざでは、そんな服を取り扱ってきました。
もしかするとここまでテイストの異なる服たちがひとつのショップに集まっているのは珍しいことなのかもしれません。女性向けの柄物もあれば男性向けのシンプルな服もあり、ユニセックスで年代問わず着用できる服もあります。
それでも、こういったラインナップであることをあえて意識してきたのが実店舗・問touであり、わざわざのオンラインストアです。
服というと「ブランド」や、Tシャツ・ワンピースといった「服の形」、あるいはカジュアル・エレガントといった「テイスト」で分類されることが多いと思います。ただこれらの表現では、わざわざにある衣類たちをうまく表現しきれないので、今回は「機能・快適・伝統・アート」という分類でご紹介していくことにしました。
さっそくわざわざの服たちをポジショニングマップにまとめてみましたので、まずはご覧ください。
わざわざの服の守備範囲の広さ、伝わりますでしょうか。縦軸を快適・アート、横軸を機能・伝統にしています。今回は数ある衣類の中から特徴的なものをピックアップしてマップ上に配置しました。
機能:生地が乾きやすい素材でできていたり、通気性にすぐれていたり。汚れがつきにくい、脱ぎ着しやすい、お手入れがしやすいなどといった特徴を持ち合わせている服です。
快適:生地に伸縮性があって体の動きをさまたげない。触り心地が柔らかだったり、肌当たりがよかったりして心地いい。服を着ているのに着ている感じがしないような、自然に身に着けられる感覚のある服です。
伝統:伝統工芸品に指定されていたり、代々受け継がれてきた技術と製法を守って作り続けられていたりして、長い歴史を持つ衣類です。こういった服はどこか凛とした佇まいで、着るときに少し背筋が伸びる思いがするような、気軽に手に取れる服とはまたひと味違った気持ちにさせてくれます。
アート:ベーシックな服とは対照的な存在です。目を引くようなデザイン性があったり、あるいは唯一無二の色柄を持っていたり。普段の自分から変身できるような、個性のある服です。
さて、左上・右上・左下・右下、どこに配置されている服が気になりますでしょうか。今手元にある、よく着ている服に似た服のゾーンから選ぶも良しですし、パッと見た感じで興味を持ったゾーンの服を見てみるも良しです。ここからは、ゾーン別に服をご紹介していきます。
<気になるゾーンの説明にジャンプし
ます> ・左上:機能×快適をまとう ・右上:快適×伝統をまとう ・左下:機能×アートをまとう ・右下:伝統×アートをまとう
機能×快適をまとう
・パン屋のTシャツ
・リネンのTシャツ
・yohaku TUTU Tシャツ
・ALL YOURS ハイキックジーンズ
・NAOT アイリス
・Inswirl ヘンリーネックTシャツ
・ムーンスター ALWEATHER
・classico h.b b.dシャツ
機能×快適をまとう服としてまずご紹介したいのが「リネンのTシャツ」です。5分袖で春~秋まで長く着用でき、どんな体型にも合います。リネン素材なので乾きやすく、汗をかいてもサラリとした快適な着心地です。屋内外問わず、ハードワークに応えてくれます。
リネンのTシャツはそもそも、パン屋として仕事をしているとTシャツの劣化が早いという悩みを解消するべく開発した「パン屋のTシャツ」の夏バージョンとして作られたものです。どちらのTシャツも、こだわりにこだわり抜いたので機能性は抜群。仕事着としても選ばれています。
現代を生きる私たちにとって本当に必要な機能を追求して服作りをしているのがTEATORA(テアトラ)です。
WALLET PANTS RESORTは、旅行者のためにと開発されました。貴重品のセキュリティーに特化したポケットを備え、接触冷感・通気性の高い生地によって、春夏の暑い季節も快適に過ごせるように作られています。
機能性の高い服として、ALL YOURSも外せません。朝起きたらつい手にとってしまうような、心地よさのための技術、機能性、創意工夫に満ちた服作りをしています。
HIGH KICK JEANSは見た目こそ昔ながらのしっかりとした綿100%のジーンズに見えながら、かつジーンズが好きな人の細かいこだわりも押さえながらも、スウェットパンツのような着心地を実現させています。一般的なジーンズより乾きが早いのも嬉しいポイントです。
足元を快適にしてくれる靴のひとつがNAOTです。NAOTの靴は履きこむ程、どんどん革が変化していきます。柔らかくなり、色の風合いが増していく。その変化の様子は履く人によってそれぞれ違います。だんだん自分だけの靴に育っていき、どんどん快適になっていきます。愛着もわきますし、一度履きはじめると手放せなくなる靴です。
快適×伝統をまとう
・Sanders
・ファーマーズもんぺ
・もんぺ
・James Mortimer レギュラーカラーシャツ
・宮田織物 はんてん
・宮田織物 ロングポンチョ
北アイルランドで100年以上もの間、親子3代に渡り特注生産にて、一枚一枚を伝統的な製法での手作業で上質なシャツをつくり続ける老舗シャツメーカー・James Mortimer。「シャツは手工芸品」という考え方のもと、希少となりつつある上質なシャツ作りに取り組んでいます。
生地のアイリッシュリネンは、光沢感があり柔らかな肌触りが特徴。吸水性、速乾性、耐久性に優れ、汗や湿気をすぐに吸収し放出する性質を持ち合わせているため、暑い季節でも熱がこもらず快適です。また、使い続けるほどに色が落ちていき、経年変化を楽しめる生地でもあります。
イングランド東部にある高級英国靴の聖地、ノーサンプトン州のラシュデン。Sandersでは4代に渡り伝統的な「グッドイヤー・ウエルテッド製法」でレザーシューズを作り続けています。正統派モデルのレザーシューズです。
靴紐を通す部分(羽根)が大きく開いてくれるので着脱しやすくなっている快適さがあります。耐久性にも優れ、ビジネスシーンから日常使いにも幅広く活躍してくれる一足です。
福岡県筑後市にある宮田織物では、久留米絣の哲学を継承しながらオリジナルの布地である『和木綿』を製作。袢天という昔ながらの衣類を、時代に合わせながら自社一貫生産でものづくりを続けています。
サッと羽織れば、お布団の中に入ったかのような暖かさとやさしさに包まれます。寒い季節の定番として、手放せなくなることでしょう。
機能×アートをまとう
・石田製帽 帽子
・ASEEDONCLOUD ハンドベーカーシリーズのパンツ
・鶫 tsugumi 銀小物製作所 アクセサリー
・logsee 革籠
岡山で長く農作業用麦わら帽子の製造を続けてきた石田製帽。今では海外生産ものがほとんどになってしまいましたが、国産かつ、手作りにこだわり続ける日本でも数少ない帽子メーカーです。
つばの広い帽子をひとたび被れば、日よけ効果はもちろんのこと、まるで物語の主人公になったかのような心持ちにさせてくれます。いつもの装いも石田製帽の帽子が加わるだけで絵になる、そんな帽子です。
機能性の高い服として、ASEEDONCLOUD(アシードンクラウド)のHandWerker(ハンドベーカー)シリーズは、ドイツ語で「職人」を意味するコレクションです。空想の職業から特別な生活着やワークウェアを構想し、多種多様の職人それぞれの普段着に適した普遍的なウェアをシーズンごとに製作しています。
シャツやジャケットと合わせると上品に、足元をスニーカーやサンダルにすると少しラフなお出かけの着こなしに。使い手が使いやすく、どんな場所においても美しく居られるような機能性と美しさを兼ね備えています。
伝統×アートをまとう
・James Mortimer バンドカラーシャツ
・セレクトもんぺ
・tamakiniime ショール
・tamakiniime 巻きスカート
・宝島染工 リネンビッグシャツ
・宝島染工 ワンピース
身に着けたとき、一枚の布が立体に変わる。動き出した時、風と空気を纏ってふわりと揺れる。見る角度によって織のデザインや色味が異なり、アシンメトリーな表情を見せてくれるロングタイプの巻きスカートがあります。
兵庫県西脇市、播州織の産地にショップとラボを構えるtamaki niime。生地の色や柄の出方が縫製によって異なる「イッテンモノ」の衣類を作っています。普通の服は前側と後ろ側が決まっていることが多いですが、tamaki niimeはどちら側を前にしてもいい服もあり、着る人の自由度が高くなっています。
安価で便利な化学染料が主流の今でも、主に天然染料を使用し、伝統の染色技術と加工で服作りを行っているのが宝島染工です。藍染・草木染・墨染といった、昔ながらの染料ならではの地味なようで鮮やかな彩度ある色、色を重ねる事によって出る色のとろみ。「侘びの味」の様な雰囲気は独特の味があります。
天然染料の衣類は洗濯の際に色落ちしていくのがまた味わい深いところです。宝島染工ではできるだけ褪色しないように、使いやすいようにと様々な工夫をして服作りをしていますが、お手入れにひと手間がかかります。だからこそ、こういった服をとっておきのお出かけの日や記念日、気合いを入れたい日に選びたいものです。
選択肢は多様でありたい
わざわざでは選択肢をたくさん持つことを大切にしています。というのも、自分にとってちょうどいい、そのバランスを取ることができるのは自分だけだと考えているからです。
何が自分には必要で、何が不必要なのか。「人の尺度で自分を計らない」というものさしのもと、自己の心身に耳を傾けながら取捨選択をし自分ならではの生活を作っていく。わざわざはこのようにして日々の生活を精一杯過ごしている人を「よき生活者」と呼ぶことにしました(良き生活者をはじめ、大切にしている「わざわざの心」はコーポレートサイトをご覧ください)。
わざわざからは何かを押し付けることはせず、多様な選択肢をご提案します。お客様にはその選択肢の中から、自分自身の嗜好や気分に沿うかどうかを吟味していただいて、もし自分にとって必要なものに出会えたときは、それを持ち帰っていただけたら何よりだと思っています。
服のバリエーションが多岐にわたるのも、こうした考え方に根差しています。
少し込み入った話をしてしまいました。わざわざではあらゆる服をご用意していますので、直感で「これが着たい!」と思って選ぶのもいいですし、クローゼットの中身を思い起こしてみて、足りない色や形の服を選んでもよいのです。あなたは、何を重視して服を選びますか。
機能・快適・伝統・アート。どの分類の服であっても、今の自分に合っているのなら、自分の気持ちやパフォーマンスを一段階引き上げてくれることでしょう。新しく迎えた服に袖を通したときの高揚感を目一杯に満喫していただけたら嬉しいです。
4分類、全てをまとえるのが「もんぺ」
さて、機能・快適・伝統・アートの4分類でわざわざの服をご紹介してきましたが、実はそれら全てをまとえる服があります。「もんぺ」です。
わざわざで扱っているもんぺは旧来のダボっとした形のものとは異なります。お尻や腰回りはゆったりしていながら、ふくらはぎや足首周りは細身に作られています。動きやすさもあり、シルエットのきれいさも兼ね備えているという、機動力もあり快適さも兼ね備えるボトムスです。
ほとんどのもんぺの生地は「久留米絣」という伝統工芸品で作られています。久留米絣は、糸を独特な方法で染色することでかすれた柄を出しています。その模様は緻密に計算されており、世界に誇れる高い技術のもとで作りだされているのです。
久留米絣には無地のものもあれば、柄のものもあります。個性的な色柄のもんぺはまさにアートをまとう感覚。いつものシンプルなTシャツも、もんぺを組み合わせるだけで印象が大きく変わってきます。
機能・快適・伝統・アート、すべてを満たすもんぺをぜひ手に取ってみてくださいね。