家事問屋
長く作られてきた道具をいま必要なかたちに
作り手・使い手に寄り添う家事問屋
家事問屋を運営する株式会社下村企販は、金属加工の産地として知られる新潟・燕三条の産地問屋として、1973年からキッチン用品の企画・開発を手がけてきた会社です。
燕三条の工場・職人たちの優れた技術を使い手に伝えるとともに、使い手が求めるものを作り手に伝える。産地に根付いた問屋として、作り手と使い手、両方の声に耳を傾けながら、両者をつなぐ役割を担ってきました。
燕三条の職人が培ってきた知識と技術で、使い手目線で今の暮らしに合った道具を作る。そうして2015年に生まれたのが、下村企販の自社ブランド「家事問屋」。
昔から燕三条で作られてきた道具をいま必要な形へとアレンジすることで、家事のひと手間を面倒に感じさせない、暮らしに便利な道具を生み出しています。
メイド・イン・燕三条
家事問屋の道具はすべて燕三条で作られています。燕三条とは新潟県央に位置する燕市・三条市を合わせた呼称で、金属加工品の産地として古くから知られている地域です。ここ燕三条に長年蓄積されてきた業務用品の製造技術が、家事問屋の商品づくりに活かされています。
例えば、丈夫さが売りの計量スプーン。業務用のステンレス板の厚みを活かして作られており、野菜や果物のくり抜きに使っても折れ曲がりづらい丈夫なつくりです。コンビニで使われる業務用フライヤーを作る工場で作られているバットあみは、耐久性に優れ、洗いやすいつくりに仕上げています。
計量スプーンと小分け調味ボール
ステンレス、鉄、アルミ。
素材ごとの性能を熟知し、機能に合った適切な素材を
家事問屋の道具は主に「ステンレス」「鉄」「アルミ」で作られています。これら3つは燕三条の金属加工の歴史のなかで得意とされてきた素材。ステンレスは錆びにくくお手入れが簡単。鉄は熱に強く丈夫で加熱調理に最適。アルミは軽くて扱いやすく熱伝導にも優れています。
素材ごとの性能を熟知し、機能に合った適切な素材を選べるのは、産地・燕三条に根づく問屋だからこそといえるでしょう。
無駄を削ぎ落としたシンプルな道具たち
下ごしらえボール
家事問屋が目指す道具の形。それは、家事のひと手間を助けるための道具だといいます。使いやすいから毎日つい手に取りたくなり、下ごしらえや調理にかかるひと手間も細かな工夫で助けてくれます。
さらに家事問屋が大切にしているのは、昔から燕三条で作られてきたものをいま必要な形へとアレンジすること。洗いやすく乾かしやすい、収納しやすい、食洗機・IHに対応している……など、今の時代に合う形に見直された家事問屋の道具は、機能のためだけにデザインされ、無駄のないシンプルな佇まいに仕上がっています。
ずっと作り続けられる環境を作る
マッシャー。ギュッと握れて力を入れやすいほか、缶のサイズにあわせた作りで缶詰めの水切りにも使えるなど、便利に使える一工夫が見られます。
家事問屋の元には、作り手と使い手の両方から様々な声が届くといいます。作り手からは、ものづくりに対する想いや、最新の技術、蓄積されてきた知識が。使い手からは、製品の感想や、こんなものが欲しいという要望などが届くそうです。
使い手の声に耳を傾け、時代に合った家事の道具を考え続けることで、作り手がずっと作り続けられる環境を作ることができる。家事問屋はそう考え、高齢化・後継者不足・材料費の値上げなど様々な状況にある産地・工場・職人を支える環境づくりを目指しています。
- 執筆:わざわざ編集部
- 撮影:若菜紘之
- 最終更新日:2022.05.21