
お洒落な服を作ろうとは思ってない。MUYA 撫養 健太
- 執筆:わざわざ編集部
- 撮影:若菜紘之
美容院より、床屋がいい。
代表の撫養健太(むや・けんた)さんは和歌山出身。元々服が好きな撫養さんは中学生の頃には服を仕事にすると決めていました。30歳で独立を決め、地元の和歌山へ帰ってきて立ち上げたのが「MUYA」です。
ファッションブランドのきらびやかな服も、もちろん好き。でも、自分が日々着るとなると、なんだかちょっと違う気もしていました。
「美容院より、床屋がいいんです。シンプルに身だしなみを整えるだけで十分」。色々着飾るのもいいけれど、普通でありたい思いが強くなった撫養さんは、日常で着る普通の服を作ることにしました。
撫養さんは毎日同じ服を着る生活をしていることもあり、自ずと作りたい服が限られていきました。まずは普遍的なシャツを作ることにしました。素材を変えながら繰り返し作っては販売していくことを重ね、徐々にラインナップを増やしています。
「なんかいい」の正体
MUYAの服は「あっ!これ着てみたい!」と一目惚れする服ではないかもしれません。けれど、手に取ってみると感じる「なんかいいかも」という感覚。この服なら、自分でも着こなせそうだと思わせる不思議な引力があるのです。その理由は大きく分けて3つありました。
ひとつが、個性がないこと。MUYAでは服を見ただけでブランドがわかるような強い個性はあえて入れません。むしろ、そうしたくなるときは一歩引いて、そぎ落とす。意識されない服であることを大切にしています。派手じゃなく、平凡で、静かに水のように日常に馴染んでいく。MUYAはそんなちょうどよさを目指しています。
もうひとつの理由は、きちんと作られているからです。生地はすべて日本製、縫製も国内。服に個性や主張を持たせていない中で、でもしっかりと気が利いているのは、手間と気配りを積み重ねて作り上げた服だからです。シンプルという言葉に胡坐をかかずに、丁寧に作られています。
3つ目の理由は、MUYAの服は人が着ることで完成するように作られていることです。主役は服ではなく、人。
世の中には新品の状態がベストな服も多くありますが、MUYAでは着る人の扱い方やくせに少しずつ馴染んでいく経年変化も大事にしています。ゆくゆくは、その人の生活の中で意識されないような存在になりたいと思いながら、服を作っています。
ふと「用の美」という言葉が浮かびました。人が道具を日々の生活で使う中で生まれる美しさのことで、その道具だけでなく、使っている風景や経年変化もまるごと含んだ美しさを指しています。服は道具ではありませんが、MUYAからは用の美を感じました。
服に興味がない人にこそ、着てほしい
ちょっといい感じの服を着たいな。そう感じた時に、MUYAを気楽に手に取ってもらえたら嬉しいと撫養さん。奥さんが旦那さんに「この服、いい感じだから着てみてよ!」といって渡すような服でありたい、そう話していたのが印象的でした。
服に興味がなくても、MUYAを着れば「なんかいい感じ」で毎日を過ごしていけそうです。よかったら手に取ってみてください。












