わざわざの食品選定基準(1/2) みんなにとっての「ちょうどいい」を選んでいます
- 執筆:わざわざ編集部
- 撮影:若菜紘之
みんなにとっての「ちょうどいい」を選んでいます
わざわざでは食品を販売するにあたって「食品選定基準」を定めています。基準を設けているくらいなら、わざわざの食品ラインナップはかなり厳密なセレクトなのではないか。そう感じられたかもしれませんが、ちょっと違います。
わざわざでは開業当初、健康的な食品にこだわっていたこともあり「国産小麦使用」「オーガニック」などの文言を使ってパンのPRをしていました。すると、健康に関心の強い方々が自然と集まるようになりました。当時はそういった店が少なかったのです。
そういった方たちの中には、自分や家族の健康を思うあまりに人にも自分と同じ厳しさであることを求める方がいらっしゃいました。「わざわざさんは自然派なのにどうしてこの食材を扱っているのか」「家族が菜食を受け入れてくれないのだけど、どうしたらよいか?」。これ”だけが”よいに縛られてしまう世界に息が詰まる思いでした。
だったら健康的なものをセレクトしながら、健康的であることを謳わないのはどうだろう?健康に関心が低い人でもわざわざに通って「これ、おいしいね」を理由に買って食べているうちに健康的な食生活になっていくのがいいかもしれない。そうやって徐々に健康を謳うフレーズを使うことをやめていった経緯があります。
わざわざで取り扱っている食品は「体にいいから食べる」というよりも「おいしいから食べたら体にも優しいものだった」と感じていただける方が自然でいいなと考えています。
うちも最近、商品の管理をかなり徹底している。砂糖が少なく、保存料など全くの無添加でたくさん作るということがどれだけ難しいか痛感している。衛生管理も、商品への配慮もたくさんの努力があって、大手はすごいなぁと思う。
— わざわざ問う人 平田はる香 (@wazawazapan) September 15, 2016
得てしてオーガニックや環境保護を訴えようとすると、それ以外のものを貶しかねない。そのやり方はフェアじゃないし、自分がよいとしたもの以外を見下してはならない。他者を尊重しながら自分の意見をきちんと言える人がどれだけ居ようか。soarに学ぶべきことはそこにある。素晴らしい。
— わざわざ問う人 平田はる香 (@wazawazapan) June 22, 2019
「基準」はあるけど決めすぎない、縛りすぎない
ここでわざわざの「食品選定基準」を紹介させてください。もともとは「商品選定基準」として食品・日用品の両方のための基準を設けていましたが、食品は口にするものだけに、より一歩踏み込んだ内容としました。どんな基準があるかというと、全部で5つです。
1.安全で安心なもの
農産物は、無農薬や低農薬を中心に、化学肥料より有機肥料を使用しているものをできる限り選んでいます。また海外より国産品、国産品の中でも長野県産、長野県産より地元産というように地産地消を心がけ、地元の農産品を積極的に販売しております。身体に嬉しい、余計なものが入っていない、作り手の顔が見える食料品を集めています。
2.無理のない価格帯
普段使いできる価格帯でリピートできる、試してみたい価格の品を集めて販売しております。そして価格が安すぎないことも重要で、生産者が正当な利益を得られるものを選んでいます。お互いにとって心地よい価格設定。それがわざわざの目指すところです。
3.生産者との良好な関係性
お客様がわざわざで買い物をすると、作った人(生産者)と売った人(販売者=わざわざ)にお金が入ります。私たちが心を込めて売るものは好きな人のものでありたい。また、お客様に生産者の気持ちを伝え、しっかりと販売できる関係性を重視して選んでいます。
4.きちんと作られたもの
食品は口にするものだからこそ、きちんとした製造設備のもと法律に則って作られているものを選んでいます。製造規模の大きさにかかわらず、原材料の調達から生産・加工までのトレーサビリティがしっかりしていることが大事です。
5.環境に配慮したもの
農薬は使用量が少ないほうが望ましいですし、パッケージは簡素かどうか、リサイクルできるかを確認しています。環境のためにできることを、できる範囲で取り組んでいる生産者の食料品を選んでいます。
わざわざではこれらの判断基準にそった「生活に密着できる物」を集めています。身体に嬉しく、余計なものが入っていない、作り手の顔が見える食料品。それはなにより自分たちが満足して使いたい、食べたいものです。「わたしにとってはこれがおいしい」を大切に食品を選んでいます。
普段使いできる価格帯でありながら安すぎないことも重要で、お互いにとって心地よい価格設定を目指しています。また、私たちが心を込めて売るものは好きな人のものでありたい。お客様に生産者の気持ちを伝え、しっかりと販売できる関係性を重視しています。
また、添加物はNG、海外産もNGというような何かを限定する定め方はしていません。1の「安全で安心なもの」において「海外より国産品、国産品の中でも長野県産、長野県産より地元産というように地産地消を心がけ、地元の農産品を積極的に販売」としたのも、選択肢を広く持っていたいからです。
いつだって選択肢は多いほうがいい。10個あった選択肢もある一定の限定ルールがあるだけで狭まってしまい、わたし達がおいしいと思うものを選びにくくなってしまいます。もちろん、できるだけ健康的なものを選びたいとも思います。
食品選定基準を持ちながらも曖昧でルールを限定しすぎない、という今のわざわざの状態はとても健全であると考えています。何年もかかりましたが、徐々に考え方がいい塩梅で緩くなっていったことでこの域にたどり着けました。
食べられなかった添加物も、受け入れらなかった食品も拒否反応がなくなり、外で受け入れる事ができている。これはこれとジャンル違いでいいところを探すことができるようになった。大衆に受け入れられるシステムを尊敬できるようにもなった。
— わざわざ問う人 平田はる香 (@wazawazapan) October 1, 2014
何を食べているか理解していますか
さて、何か食品を購入する時にパッケージ裏面に書かれている成分表記を確認することはありますか。
わざわざではかねてから「わからないものは食べないという選択もある」とお伝えし続けています。パッケージ裏面の成分表記を見て、何が使われているか理解できるなら食べる。よくわからないものが入っているならやめる。この食品の選び方は、とてもシンプルなのでひとつのやり方としておすすめです。
わざわざ代表の平田がまだ添加物に対してのアレルギーが強かった時期ではありますが、2012年にはこんなツイートもしていました。こちらの本は添加物に対して興味深く説明している本なので、一つの考え方として読んでみてもよいかもしれません。
「食品の裏側―みんな大好きな食品添加物」http://t.co/Kvyf0gaV これは一般的教養として読むことをお勧めする。
— わざわざ問う人 平田はる香 (@wazawazapan) December 28, 2012
ちなみに、ネットで食品を買おうとすると成分表記欄の記載が省略されていて確認できないことがあります。実店舗でのお買い物であれば確認できるのにネットだと確認できなくなるのは問題だと感じているので、わざわざのオンラインストアでは必ず原材料を表記するようにしています。必要に応じてご覧いただけたら幸いです。
別に添加物が全部嫌だとは思わないけど、知る権利が与えられないのが気になる。なぜ、与えたい情報だけ与えるのか?穿った見方をすれば、書けない材料なんだなと思ってしまう。オンラインストアにも食品材料の表示義務をつけてほしい。スーパーで当たり前に見えることがネットだと見えない。
— わざわざ問う人 平田はる香 (@wazawazapan) May 29, 2019
パッケージ裏面を見るのはおすすめしたい行動ではありますが、成分表記を確認する習慣がない人がいきなり買おうとしている全ての食品で確認し始めたら大変ですし、せっかくの楽しい食事がつらいものになってしまいます。
完璧であることが唯一の正解かというと違うかもしれません。まずはやれる時だけやってみるのが大切です。たとえば買うかどうか迷った時だけ裏面を見てみる、というように自分の中でやり方を決めてみましょう。
「裏面、見たほうがいいのは分かるけど正直面倒だ」と感じる方も多いと思います。仕事や育児に忙しくて、買い物に時間を割けない方も多いでしょう。
必要だから買う・安いから買うという行動はしやすいですが、必要なものをカゴに入れる前に値段と原材料を確認して買うかどうか判断する、となるとエネルギーと時間を使います。そんな時は、よかったらわざわざを頼ってください。
自分にとってちょうどいいものを
今回は食品選定基準にまつわる話をしましたが、これを読んだ方に「食品選びとはこうすべきだ」と押し付けるつもりはまったくありません。
自分にとってちょうどいい、そのバランスを取ることができるのは自分だけ。人それぞれ、各自で自分自身の健康を思って選択していくことが大事です。
わざわざは自己の心身に耳を傾けながら、日々の生活を精一杯過ごしている人を「よき生活者」と呼ぶことにしました。人の尺度で自分を計らず、人それぞれ与えられた自分の体が健康でいられる状態を自分で探す。こうしてひとつずつ自分の生活を作っていく「よき生活者」を、わざわざでは応援しています。
食品選択基準のもと、幅広い選択肢をご用意しています。よき生活者でありたいと思う方が食品を購入する時、その選択のお手伝いをわざわざが担えたらという思いで、これからも多種多様な食材をセレクトしてまいります。人それぞれに合った使い方で、わざわざを、そして日々の食生活をおいしくて健やかなものにしていただけたら幸いです。
さて、今回の話には続きがあります。実はわざわざではインスタント・レトルト食品も豊富にラインナップしています。簡単に調理できるこうした食材は、時に「体に悪そうだから」と敬遠されやすかったり、あるいは食べながら少し罪悪感のようなものを覚える方もいらっしゃるかもしれません。
それでもわざわざでインスタントの袋麺やレトルトカレーといった食品を取り扱うのには理由があります。続編「インスタントに頼ったっていい」をご覧ください。