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わざわざの「自由」には「責任」が伴う。

わざわざの「自由」には「責任」が伴う。

「わざわざで働くって、どんな感じなんだろう?」

このインタビュー連載は、「わざわざで働く」とはどんなことなのかをリアルに知っていただくために始まりました。
今わざわざで働きながらキャリアを形成しているスタッフに、実際に働く中でどう感じてきたか、わざわざで見つけた「働く」とはどんなことか、などを聞いていきます。

2人目は、パンづくり部の堀田さん(入社3年目)。パン製造未経験でわざわざのパンづくり部にアルバイトとして入社後、現在は正社員としてパンづくりに励む堀田さん。彼には「ゲストハウスをつくりたい」という夢があるそうです。

堀田さんは今、わざわざでどんな働き方をしているのでしょうか。

  • 執筆:土門蘭
  • 撮影:若菜紘之
 プロフィール
堀田きずな(ほりた・きずな)
1994年石川生まれの29歳。設計事務所に勤務したのち、より自由な働き方を実現するため、4年間さまざまな土地で農家やスキー場など季節労働のアルバイトを経験する。2020年、26歳のときにわざわざのパンづくり部にアルバイト入社。現在は正社員としてパンづくりに従事している。最近は5時-14時出勤のあと、釣りに行くのが楽しみ。

実はそんなに長くいるつもりはなかったんです

ー堀田さんはわざわざに入る前はどんな仕事をしていたんですか?

大学では建築を専攻していて、卒業後は設計事務所で建築士として働いていました。住宅の設計をする仕事だったのですが、職場がかなり激務で、しんどくなってしまって1年半で退職したんです。

それもあって「もっと自由に働きたい」「好きな場所で好きな仕事をしたい」という気持ちが強くなって、4年ほどいろんな場所でアルバイトをしていました。住み込みのバイトで、農家やスキー場、ゲストハウスなど、季節労働の仕事を転々としていましたね。

ーわざわざで働くことになったきっかけは何だったんでしょう?

長野の川上村というところで農業の仕事をしていたときに、車で1時間半くらいの場所にわざわざがあることをたまたま知ったんです。最初はお客さんとして買い物をしていたのですが、通ううちに「いいお店だなぁ」と思うようになりました。まず、立地がすごくいい。山が綺麗に見えて、景色も良くて。それに建物の雰囲気や、店員さんの雰囲気も素敵で。パンづくり部でアルバイトを募集しているのを知って、「おもしろそうだな」と思い応募しました。

ーそれまでにパンづくりをしたことはあったのですか?

いえ、まったくなかったです(笑)。でも昔からものづくりが好きで、パンづくりにも興味がありました。実はずっと「いつかゲストハウスをつくりたい」という夢があるんです。僕はもともとバックパッカーで、学生の頃海外のゲストハウスを泊まり歩いていたのですが、おもしろい人が集まって交流できるその場所がすごく好きで。いつか自分でもゲストハウスをつくって、そこで自分で焼いたパンを出せたらいいなと思っていました。だからここで働きながら、パンづくりを覚えられたらなって。

そんななので正直言うと、他のバイト同様わざわざにも長くいるつもりはなかったんです。「やりたいこと全部やっちゃおう」「自由にいろんな仕事をしよう」という考えの一環で、わざわざで働き始めました。

自然に寄り添うパンづくりには体力が必須

ーパンづくり部では、具体的にはどんな働き方をしているのでしょうか。

出勤して一番にすることは、釜に薪をくべて火をつけることです。それからパン生地を仕込んで成形し、発酵させたあとに焼いていきます。つくるのは食パンとカンパーニュの2種類のみ。1日あたり、合わせて150個くらいつくっているでしょうか。

ー実際に働いてみて、イメージと違ったことはありましたか?

イメージと違ったというか、想像以上だったことならあります。面接のときに「パンづくりは体力がいる仕事だよ」と言われていて、僕は体力にはかなり自信があったのですが、実際は想像を超える大変さでした(笑)

何が大変かと言うと、夏と冬が過酷なんです。わざわざの厨房には冷暖房の設備がないので、夏はものすごく暑い。厨房の中が40度以上になって、サウナ状態になります。冬は冬でこの辺は冷えるので、マイナス15度になるくらいの日もあって。だけど冬は釜を焚いているので、中に入ると暖かいぶん、夏よりはマシかもしれないですね。だから、パンづくり部に入る方は体力は必須だと思います。

 

ーそれは大変そうですね……!

また冷暖房の設備がないぶん、自然環境にパンの生地の状態が左右されます。季節や天候によって、発酵の状態が変わってくる。それが難しいところでもあるのですが、おもしろいところでもあるんです。僕はキャンプやスノボなど、自然の中で過ごすのが好きなのですが、そういったものと同じように、わざわざのパンづくりでも自然の変化に寄り添える感覚があります。仕事でも自然と密接に関われることは、僕にとって嬉しいことでしたね。

 

ーそれはわざわざのパンづくりならではの特徴かもしれないですね。パンづくり部は勤務時間も早いかと思うのですが、その辺りはいかがですか?

早番の日は5時から14時まで、遅番の日は7時から16時まで働いています。基本的に残業はなく、きっかり8時間労働です。僕は早起きが得意なので、このサイクルは心地いいですね。最近は早番の日は、仕事が終わったあとに近所の川に釣りに行くのが楽しみなんです。早い時間に仕事が終わると退勤後の自由度が高まるので、それは自分にとても合っていると感じます。

わざわざの「自由」は「責任」を伴ってこそ

ー他にも、想像と違ったことはありましたか?

入社する前に『わざわざの働きかた』を読んだときには、好きなように休日が取れる自由な社風なのかなとイメージしていました。実際その通りなのですが、わざわざでの「自由」は「責任」を伴ってこそ実現されるものなんだと、入社してから実感しましたね。好き勝手するのではなく、自分で考えて主体的に動くことが求められる会社だと思いました。わざわざは周りから見ると「ゆったり」「ほっこり」というイメージがあると思うので、そこはギャップがあるかもしれません。みんな自由にやっているように見えて、責任をシビアに引き受けていますから。

実際、わざわざにはそういうタイプの人が多いですね。主体性や行動力があって、変化を楽しめる人というか。わざわざ自体、常に変化・進化していく会社なので、それについていける方が合っているんだろうなと思います。

 

ー堀田さんご自身も、そういうタイプですか。

そうですね。僕は結構飽き性だし、何にでも挑戦したいタイプなので、会社がどんどん変化していくのは刺激があって楽しいです。また、僕自身も時々お店に出たり記事を書いたりと、パンづくり以外の仕事にも声をかけてもらえるので、個人的にもスキルアップできる会社だなと思います。だからこそ、アルバイトから正社員になろうと思ったところもありますね。

信念のあるパンとの出会い

ー最初はそんなに長くいるつもりはなかったということでしたが、アルバイトから正社員になろうという心境の変化は、どうして起きたんでしょうか?

正社員にならないかと言われたとき、実は少し悩んだんです。自由に働けるアルバイトが、自分の性に合っていたので。でも、わざわざで働いてみて「ここでもっと続けてみたいな」という思いが芽生えました。一番の理由はやっぱり、仕事が楽しいからですね。わざわざでのパンづくりがおもしろくて、これを極めていきたいと思うようになったんです

 

ー堀田さんにそこまで思わせた、わざわざでのパンづくりの魅力は何なのでしょう。

わざわざのパンは種類が2つしかなく、つくりもすごくシンプルです。素材と天然酵母の味がダイレクトに伝わるので、誤魔化しがまったくききません。その上、自然環境によってパン生地が刻々と変化するので、こちらの直感がとても試されます。だからこそ、ここでのパンづくりはまだまだ追求し甲斐があるし、全然飽きない。これからもずっとパンづくりをしていきたいなと思わせてくれる、信念のあるパンと出会えたなと感じます。

ー堀田さんにとって、わざわざではパンとの出会いが大きかったのですね。正社員になってから、堀田さんの中で変化や成長はありましたか?

そうですね。アルバイトのときは言われたことをただこなすという働き方だったけれど、正社員になってからは会社全体を意識するようになったと思います。どうしたら売り上げに貢献できるか、お客様にもっと喜んでもらえるかを考えながら働くようになりました。そういうことが全部自分の身になっていると感じます。

現状に満足せず、進化し続ける会社

ー堀田さんから見て、わざわざを一言で表すとどんな会社でしょうか?

「進化し続ける会社」だと思います。基本的な方針である「よき生活者になる」という芯はブレないけれど、常に現状に満足せずに変化を起こして進化していく。代表の平田さん自身がそういう変化をすごく求める人だと思うから、まだまだこれからも留まることなく変わり続けると思います。

 

ーそんなわざわざに、今後どんな人に入ってほしいですか?

やっぱり、変化を楽しめる人でしょうか。わざわざでは突然仕組みが変わったり、部署異動があったりするから、心の準備が間に合わない時もあるんですけど(笑)。そのスピードに適応できたり楽しめたりする人は、わざわざに合っているのではないでしょうか。

ただ、わざわざでは変化の強制はしないので、そこは安心してもらえたらと思います。僕自身は結構なんでもやりたい方なので受け入れるのですが、自分の特性と違っていたりやりたくない仕事については、ちゃんと意見を言えば配慮してくれるはずです。その辺りは、一人ひとりのことをしっかり考えてくれる会社だと思います。

ーそれでは最後に、今後の展望を聞かせてください。

まずは、わざわざでパンづくりを極めたいと思っています。また、パンづくり以外の業務での経験も全部吸収して、自分のスキルアップにつなげていきたいですね。そして「いつかゲストハウスをつくる」という自分の夢に、わざわざでの経験を活かしていきたいです。

土門蘭

文筆家。1985年広島県生まれ、京都在住。小説・短歌などの文芸作品や、インタビュー記事の執筆を行う。著書に『100年後あなたもわたしもいない日に』(寺田マユミ氏との共著)、『経営者の孤独。』、『戦争と五人の女』、『そもそも交換日記』(桜林直子氏との共著)がある。2023年4月には、2年間の自身のカウンセリングの記録を綴ったエッセイ『死ぬまで生きる日記』を上梓。同作品で第一回「生きる本大賞」受賞。

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